-
優等生のやめかた (今さら)『告白』湊かなえ、本屋大賞だいじょうぶ? 第一部 後味の悪さの研究
エッセイイヤミスを考えました。それでやっぱ『告白』の場合、「小説が下手!」というのが「いやーな感じ」の原因の気がします。だってそうです。「いやーな感じ『しか』残せない」のがイヤミスだとしたら、「いやーなとこ以外はダメ!」にしかなりませんでしょう。という、どうでもいいといえばどうでもいい研究をしているのですが、「そもそも読者をいやーな気持ちにするつもりなど湊には無かった。そんな作家じゃない」という推論も出してます。はい。【目次】一章 「聖職者」の凄味と後味 1 「聖職者」の凄味とミステリーの弱さ 2 「聖
-
優等生のやめかた (今さら)『告白』湊かなえ、本屋大賞だいじょうぶ? 第三部 学校と暴力と優等生
エッセイ「たまたま勉強ができたという、たったそれだけのことで、なんでここまでひどい目にあわないといけない?」いつからか優等生は肩身の狭い思いをしています。世間でも家庭でも、なんと学校でも。なぜでしょう? だって「優等」なのに。優等生の孤独と苦痛、そんな彼/彼女の暴力を俎上に上げたのが湊の『告白』です。「優等なはずなのに、なんでこんなことになっちゃうの!?」──これこれこうしてなっちゃうんです。在野の橋本学派が解き明かす、「現代日本国民史~優等生編」。※そんな学派はありません。【目次】九章 優等生とはこう
-
優等生のやめかた (今さら)『告白』湊かなえ、本屋大賞だいじょうぶ? 第二部 これが森口だ!
エッセイ『告白』は失敗しています。少なくとも文芸的には失敗作ですが、だとしても、大切な観点と内容を持っています。「事件につぐ事件、暴力につぐ暴力」より「イヤミス」より、大事なものがこの作品にはあります。きっと湊はそれを書きたかったはずだし、読み手もそこに引っかかったはず、というのがカズノの立場ですが、そんな話をこの部から始めました。始めたらどんどん長くなりました。嗚呼。けどまあ入魂うんぬんはともかく、一冊の読書に感じたり思ったり考えたりすることって、原稿用紙1000枚くらい軽く超えません?【目次】四章
-
優等生のやめかた (今さら)『告白』湊かなえ、本屋大賞だいじょうぶ? 第四部 読書という文化
エッセイ「どうしてこの音がここにあるのか。全体のなかでどういう役割を果たしているのか。 あ!そうか!とわかる時がいちばん楽しい。意図の根底に少しだけ触れた、気がするから。」と話したのは鈴木祥子です。「考えることは危険だ。 でも、考えないことよりはるかに安全だ。」とは江國香織です。どっちをエピグラフにさせてもらおうかなー、と迷いました。筋金入りの不良少女対決というか、楽しい逡巡でしたけど、今回は祥子さんver.です。香織さんver.はまた今度やります。何を「考える」したかは目次参照。【目次】十三章 優等生
-
THE MAN I LOVE <矢代俊一シリーズ7>
ボーイズラブ北海道のジャズフェスへの会場に赴いた矢代俊一を待っていたのは、なんと恋慕してやまぬ金井恭平の姿だった。勝又英二がいながら金井恭平への恋慕に身を焼かれる俊一は、恭平との二人だけの夜に身を焦がしていく。別れがたさに、帰路の空港への道すがら心中さえも口にする彼だったが、ようよう東京へ戻った彼を迎えたのは思いがけぬ出来事だった。事故で入院中の母を見舞った彼は、出生の秘密を告げる母の告白を聞くことになったのだ。しかも、その母は医療事故のためにほどなくこの世をさってしまうが……矢代俊一シリーズ第7巻。
-
やつるぎ村 ——忘れたくない忘れられない物語
文学昭和30年代初め頃、小学生ゴロは両親や姉とともにやつるぎ村に暮らしていた。並外れてわんぱくなゴロは、いたずら好きな友だちやいとこ、人助けをいとわない愛情たっぷりの両親、そして周囲の村人たちがおこす事件に次々と巻き込まれていく。貧しい人も金持ちの人もみんなやさしかった。大人も子どももみんな役割を持って生きていた。家族そろってご飯を食べて、テレビもマンガも一緒に見ていた。60年前の日本の姿がよみがえる。ペーソスあふれる短編小説22編(テキスト11万字 挿絵67点)。【目次】プロローグ/世界の中心の文
-
宴のあとで
文学弔意をこめて親友の死を悼み、学友たちの心根を語り伝える『宴のあとで』。癌の告知を学友たちへメールで知らせ、生と死の狭間を快活に生き抜く『ネクタイからベルトまでの間の幸せ』。【目次】宴のあとで。ネクタイからベルトまでの間の幸せ。
-
「さよなら」はどこへ
文学子供心に女教師へ抱いた淡い恋『淡雪の恋』。長い同棲生活に倦み疲れたか、若い女に言い寄られた大人の妄執の愛をシャンソンを交えて語る『「さよなら」はどこへ』。【目次】淡雪の恋。「さよなら」はどこへ。
-
逃亡者
文学ヒト属ヒト科ヒト(ホモサピエンス)からはみ出た男、過去の妄想に執り着かれた女、家出して夢を追う男『逃亡者』。百五十年の旧家に住む森の住人。不便な建売住宅から、終の棲家を求めて中古住宅探し『暗い森』【目次】逃亡者。暗い森。
-
月刊 ココア共和国 2020年6月号
詩/短歌/俳句毎月、読者から詩作品を募り、新鮮な抒情や、理論と方法論の実験に満ちた、素敵な 作品たちをていねいに編んでいきます。その投稿詩は、秋吉久美子賞、いがらしみきお賞、YS賞への応募作とみなされます。受賞者は来年3月に発表されます。今月のゲストは、秋吉久美子、いがらしみきお、クマガイコウキ、鈴木そよか、中川龍太郎の5名。投稿詩傑作集として34名、投稿詩佳作集として109名の詩人が登場。毎号、投稿詩を中心に編集していく予定です。詩は楽しくて、深いものだと感じてもらえる編集に努めます。【目次】月刊ココア共和