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命ささらぐ第1部 タイがこの上なくのどかであった頃
エッセイ工業化が緒に就いたばかりで、何事も効率的には進まない1970年代前半に、読み書きが一切出来ない中国系怪物社長の下で、20人のフランス人技術者と苦楽を共にした。片田舎からやって来た陽気なメイドとの交流を終始楽しんだ。そんなタイの社会の中にどっぷり浸かって暮らしてみると、人間のおかしさ、あやうさ、あたたかさが見えて来た。10年後に再びタイに赴任してみると、その間にタイは、工業化に見事に適応していた。【目次】シリーズ 「命ささらぐ」 のはじめに第1章 志願して来た陽気なパダム第2章 怪物社長スクリー氏
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命ささらぐ第5部 若き日
エッセイ最初の記憶は栃木県の山奥の不自由な生活だった。高校2年の時の三宅島探検が原体験になった。高校3年間は勉強を拒否し、課外活動に熱中した。浪人の1年間は入院生活。特殊な受験勉強法で、生涯初めての棒高跳びに成功するようにして大学に入った。大学時代は、文章、美術、音楽、旅など感性の世界でさ迷った。やがて写真学校に毎晩通った。卒論には全力投球した。進路には迷ったが、結果としては選択を誤ったと思う。ただし、4回計10年の海外生活は、実りがあった。米国企業への転身、大学講師と著述業への転身も、悪くなかった。【
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命ささらぐ第3部 イタリアで我が人生を見つけたり!
エッセイ北イタリアの米作地帯の中にある人口5万人余りの歴史ある町で、2年1ヵ月働いた。なだらかな丘陵地帯では、ブドウ、麦、トウモロコシ、ヒマワリなどが栽培されていた。会社からはアルプスのモンテローザが見えるし、マッターホルンやモンブランまでも遠くない。東北のドロミテも愛すべき山々だった。夏やクリスマスの休暇には、ヴェネツィア、トスカーナ、シチリア、スイスアルプス、スコットランド、南仏などへも旅した。仕事はハードだったが、職住接近の地の利を生かして懸命に働き、イタリアの人々との信頼関係を楽しんだ。【目次】
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命ささらぐ第7部 人生、これにてお開き
エッセイビジネスは、持てるあらゆるものを総動員して問題の発見と解決に当たる全人的ゲーム。だからこそ面白いし、ビジネスによって人は成長する。中間管理職になってからの振る舞い方には三つのタイプがある。強烈な上昇志向の「パワー人間」、その対極にある「価値人間」、丸く収めることを最優先する「協調人間」である。第2章以降は、「犬の寝言」「進化」「蝶の羽化」「精子・卵子の数」などの自然の摂理や、パートナーとのすれ違い、日常生活こそが人生、老化、死など命の愛おしさに関する締めくくりの話。【目次】第1章 ビジネス誇るべ
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命ささらぐ第2部 韓国がこの上なく快適な隣国であった頃
エッセイ1980年代前半に暮らした韓国では、人間の情の深さと信義の厚さを感じた。半年もしたら、韓国社会の中にどっぷり浸かっていることに全く抵抗がなくなった。「韓国人は世論調査では『日本は嫌い』というが、中で暮らしてみると彼らは世界有数の『日本ファン』ではないかと思われるほどだ」「日韓は『似ているようで違う』し『違うようで似ている』。こうした微妙な異同感が面白い」(黒田勝弘)。とりわけ韓国語が日本語と瓜二つの言語であることを知ることは興味深い。日韓関係を冷静客観的な視点から書いている約10冊の本も紹介して
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命ささらぐ第4部 ヒマラヤへの卒業旅行
エッセイビジネスキャリアからの卒業旅行として、山岳写真の仲間とヒマラヤ山中を15日間歩いた。8000メートル級の山々はもちろん雄大だったが、寝食を共にした高地民族の人たちとの触れ合いもまた、強烈な思いを残してくれた。彼らは零下10度の屋外で、吹きさらしの簡易テントの下で毛布1枚にくるまり、数人で体を寄せ合って冗談を言いながら寝ていた。高度にももちろん強いが、夜目も利く。体温の自己調節能力にも優れている。空気も水も少なく、物資も少ない山間にあって、高地民族の人々は明るくくったくがなかった。【目次】ルクラへ
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命ささらぐ第6部 コミュニケーションとアートョンとアート
エッセイビジネスの世界で意味不明の文章にさんざん悩まされた経験を元に、社会人や学生の指導を行いながら、独自の文章技術を説いている。たとえば「人は、お金のためだけに働く訳ではない」と言いたい時に、「働くということは、ただ単に収入を得たり、労働に対する対価を得るという物理的な理由だけの目的で行うのではない」と難しく書いてはならない。主語が2つあったら文も2つに分け、その主語を最初に書くだけで飛躍的に分かりやすくなる。文章論ではロングセラーも生まれた。絵画、写真、音楽などに関しても、独自の論を展開している。【
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ある晴れた夏の朝
文学アメリカの8人の高校生が、広島・長崎に落とされた原子爆弾の是非をディベートする。肯定派、否定派、それぞれのメンバーは、日系アメリカ人のメイ(主人公)をはじめ、アイルランド系、中国系、ユダヤ系、アフリカ系と、そのルーツはさまざまだ。はたして、どのような議論がくりひろげられるのか。そして、勝敗の行方は?
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かげろうのむこうで 翔の四季 夏
文学小学生の翔は、ふとしたことから高宮さんと、その飼い犬トラウムと出会い、週に2回の散歩を頼まれるようになる。おばけの見える友達、仲がいい父と母、同じマンションに住む芸能人とのやりとりのなかで少年は、見えること、見えないことに思いをめぐらせる。