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新装版 キムの十字架 松代大本営地下壕のかげに
文学今、あらためて戦争を考える。長野県で極秘に進められた大本営工事。そこには朝鮮から強制連行されてきた兄弟がいた。過酷な強制労働のなかでたがいの消息を知らぬまま過ごした。終戦により解放され、兄は弟も連行されていたことを知るが…。児童文学者・和田登が丹念な取材や残された記録をもとに、物語へと昇華させた最高傑作。【目次】1 物語のはじまり2 セファンのひろいもの3 ジェハのビンタ4 風のうなる夜5 大雪の日に6 中野少年の死7 解放だ!!8 セファンの文字か?9 空中にまいあがった紙 10 はるかな鐘の
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ねむりたりない
詩/短歌/俳句幻の心臓が鳴りやまない燃えやすくて凍りやすい感情に居場所を与える。今ここに生きるために。未来を確かめるために。─東 直子【5首】母さんの自作だったと後に知るお伽話で燃えていた町くるぶしは小さな果実 夕闇に熟れゆくきみを起こせずにいるあの女も使ったかなぁ出汁巻のうずに差し込む基礎体温計一歩ずつ脱ぎ捨てていくサンダルのごときクリップ海に焦がれて枯れるのも咲くのも花の意志ならばわたしの体はだれの福音【目次】Ⅰ ミナモきみも海鳴り都庁庭のない家糸より細くリビングルームⅡ ツツジユーラシア永い背泳ぎし
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老人ホームで死ぬほどモテたい
詩/短歌/俳句思わぬ場所から矢が飛んでくる自分の魂を守りながら生きていくための短歌は、パンチ力抜群。絶望を嚙みしめたあとの諦念とおおらかさが同居している。 ─東 直子【5首】母は鳥 姉には獅子と羽根がありわたしは刺青(タトゥー)がないという刺青(タトゥー)風呂の水が凍らなくなり猫が啼き東京行きの切符を買った故郷の母と重なりしメスライオン 深夜のナショナル・ジオグラフィック沼津という街でxの値を求めていた頃会っていればなシロナガスクジラのお腹でわたしたち溶けるのを待つみたいに始発【目次】スナックはまゆうエグザ
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月刊 ココア共和国 2022年9月号
詩/短歌/俳句毎月、読者から詩作品を募り、新鮮な抒情や、理論と方法論の実験に満ちた素敵な作品たちをていねいに編んでいきます。その投稿詩は、秋吉久美子賞、いがらしみきお賞、YS賞への応募作とみなされ、3月に受賞者を発表します。今月のゲストは、秋吉久美子、いがらしみきお、北爪満喜、齋藤貢、小林素顔、伊藤テル、能美政通、菅沼きゅうり、森崎葵 の9名。投稿詩傑作集として43名、佳作集には108名の詩人が登場。毎号、投稿詩を中心に編集していく予定です。詩は楽しくて、深いものだと感じてもらえる編集に努めます。【目次】高山
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再婚ものがたり
文学妻に去られて十余年、二人の子を大学まで育て上げた男と異国で夫を亡くした女が出会った。訪れた妻の実家で会った義理の父親は只者ではなかった。明治以降の日本の近代史を背負って生きる現代の怪人とも呼ぶべき異形の人だった。家族は日本と深い関わりを持ったが故に、父親はその歴史から抜け出せずに生きていた。偉大な祖母に育てられた妻も日本ではとっくに失われた道徳と倫理で生きていた。そして世に理解されない父の生き方に翻弄されながらも、父娘の情愛を胸にけなげに寄り添っていた。
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The Graveyard Overlooking the Sea
文学With the theme of the bond between parents and children, the story depicts the mental transition and growth of a young man in postwar Japan.【目次】1)The story of the parent-child's love and bond. A family lives in a seaside village, struck by floods and
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曹操 卑劣なる聖人 第五巻
歴史/時代小説第五巻では、呂布を降し、張繡を味方に引き入れ、後顧の憂いを断った曹操が、いよいよ袁紹と天下分け目の決戦「官渡の戦い」を繰り広げる。 曹操の40代半ば、建安三年から五年(西暦198年-200年)を描く。 袁紹、劉備、関羽はもちろんのこと、荀彧、郭嘉、献帝、董昭、荀攸、張遼、賈詡、袁術、許攸、張郃、高覧、孔融らが登場する。 【目次】 第一章 呂布を処刑する 第二章 赤兎馬と美女 第三章 徐州平定、土豪と契りを結ぶ 第四章 郭嘉の十勝論 第五章 関中の諸将を官に任じる 第六章 酒
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WILLOW WEEP FOR ME <矢代俊一シリーズ15>
ボーイズラブ矢代俊一に妄執を募らせる渥美公三の死によって、俊一にもようやく平穏な日々が訪れた。高瀬とのライブに来た森田透のリクエストに応じて歌った曲が聴く者を驚愕させるほどの歌唱となり、金井恭平との激しい情事によってレッスンを休まざるを得なくなった俊一を見舞に来た父と俊一、そして英二も加わった自宅での演奏は、性的な絶頂を感じさせるほどの衝撃的な演奏となるなど、俊一の音楽はさらに飛躍を遂げようとしていたが……渥美公三の通夜、告別式への出席は新たな脅威を予感させるものだった。矢代俊一シリーズ第15巻。
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月刊 ココア共和国 2022年8月号
詩/短歌/俳句毎月、読者から詩作品を募り、新鮮な抒情や、理論と方法論の実験に満ちた素敵な作品たちをていねいに編んでいきます。その投稿詩は、秋吉久美子賞、いがらしみきお賞、YS賞への応募作とみなされ、3月に受賞者を発表します。今月のゲストは、秋吉久美子、いがらしみきお、岩佐なを、松本真理子、シーレ布施、森崎葵、真土もく、能美政通、伊藤テル、菅沼きゅうり の10名。投稿詩傑作集として44名、佳作集には105名の詩人が登場。毎号、投稿詩を中心に編集していく予定です。詩は楽しくて、深いものだと感じてもらえる編集に努め
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アンセム
外国文学米国議会図書館の調査で「聖書に次いでアメリカ人に最も影響を与えた本」とされた『肩をすくめるアトラス』の著者アイン・ランドによるディストピア短編小説。集団・平等主義が極限まで推し進められた結果、「私(I)」という概念が排除され「われら(we)」に置き換わってしまった遠い未来。主人公は自由を取り戻す闘いに立ち上がる。