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作品説明
本書が大衆運動とそれに伴う社会変容=階層再編を分析する際に最も重視するのは、「演技」という観点である。……そうした日常生活のなかの演技が、一九五〇年代以降の中国では、党・政府やそれらに忠実な機関の宣伝によって強く方向づけられ、さらに大衆運動によって厳しく統御され、高いリスクや緊張を伴うものになったといえよう。そして、党・政府が望むように演技をした人びとの言動が、メディアや集会において宣伝されて、さらにそれに倣ってより多くの人びとが演技をする、という繰り返しのなかで、人びとが大衆運動に動員されていったのである。
本書は、上海の民間企業(後には公私合営企業)の職員、すなわちサラリーマンの地位や意識が、職場における大衆運動の進展に伴って変化していく様相を、具体的に描き出していく。……以下では、「三反」「五反」運動・公私合営化・反右派闘争と連鎖する大衆運動のなかを生き抜いた民間のサラリーマンたち、なかでもエリート・サラリーマン(「高級職員」・「資本家代理人」)たちの足跡をたどりながら、一九五〇年代の上海の人びとが体験した共産党支配の確立と社会階層の変動を明らかにしていこう。(本文より抜粋)
【目次】
はじめに
一 職員と労働者の関係
二 「三反」運動のなかの技術人員
三 「五反」運動の発動
四 上海市工商業聯合会と上海総工会の宣伝活動
五 「高級職員」と「資本家代理人」にとっての「五反」運動
六 公私合営化に対する「資本家代理人」の期待と不安
七 公私合営化の展開と「資本家代理人」に対する政策
八 公私合営企業における権力関係
九 「資本家代理人」の「思想改造」
一〇 公私合営後における「資本家代理人」の希望
一一 反右派闘争以後の「資本家代理人」
おわりに 現代中国への視点