一旦ボタンを止めて、これが私たちの未来か尋ねる時です

ネット社会を生きる10ヵ条

著者:ダグラス・ラシュコフ

翻訳:堺屋七左衛門

電子版: 990円(税込)印刷版:2,200円(税込)

本書は、2020年5月に刊行した
「ネット社会を生きる10カ条」電子版を
一部修正し、印刷版として出版しました。

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あの時、デジタル技術の語るすべてに胸を打たれ、新しい道へと進んだ人たち。あなたの誇りと熱き夢の現実を、今どう受け止めているでしょう。あれから何が起こったか、何を見失ったか、素直な気持ちで振り返ることをこの本は呼びかけます。

人は言葉を聞くだけでなく話をしました。文字を読むだけでなく書くことを学びました。そして、このデジタル時代に私たちはプログラムをする必要を知りました。プログラミングって何でしょう?ネット社会の恐ろしい落とし穴、歴史、誤認、失敗、苦悩……そして常にそこにある人間性をもって向き合わねばならない希望について、わかりやすく10章で構成されています。手を差しのべる、小さな、フレンドリーな、とても大きな実用的メッセージです。

著者本人によるPVはこちら


《イベント》2月15日、ダグラス・ラシュコフとジョン・オークスの二人がニューヨークで対談
ネットの断食と食の断食、どちらが先?

2024年2月15日、ジョン・オークス初の単著『FAST(断食)』の出版を記念して、『デジタル生存競争』の著者ダグラス・ラシュコフとニューヨークのストランドブックストアで対談を行います。
オークスは電子書籍とプリントオンデマンドでの出版を掲げるORブックスを創業し、オックスフォード大学出版局が発行した『オックスフォード 出版の事典』にも出版史『アイデアの錬金術:出版と文化』を寄稿している出版人です。ノンフィクション『ベストセラーはもういらない』(秦隆司著)の中心的登場人物でもあります。

『FAST(断食)』のテーマは、身体のリセット・整え方の1つとして注目されてるファスティングです。なぜ注目されているでしょう。食べないことで胃腸、内臓を休め、デトックス効果や免疫力の向上を期待できると考えられているからでしょうか。あるいは、抗議活動であるハンガーストライキや宗教的な意味を持つラマダンによって、日常生活とは違う精神状態を持つことができるからでしょうか。

ラシュコフは『ネット社会を生きる10ヵ条』で「常時オンをやめよう」と書いています。常時オンは、真の熟考を守るための活力を人間から奪うものだというラシュコフの考え方と、ファスティングによる常生活からの離脱を研究するオークス、実に興味深い対談です。どんな火花が散るのか、楽しみです。

ストランドブックストアは100年近くの歴史を持つ書店です。2016年のニューヨークタイムズの記事には、年間250万冊を販売し、200人の従業員をかかえ、競合の書店が廃業するなか、出版市場の荒波を生き残ってきたとあります。ニューヨークタイムズは、市内の独立系書店の王者と評しています。二人がこの書店で対談するのは偶然ではないでしょう。

若林恵 様(編集者・黒鳥社)より
日本語版に寄せて――
これは現代への対処法を授ける本だ

技術はニュートラルだ。それをよく使うのも悪く使うのも結局は人間次第。というようなことはよく言われる。バカとハサミは使いよう。しかし、そうした技術論にはひとつ大きな落とし穴がある。

技術はときに人の意図と逆の作用を引き起こす。そのとき原因を「人の意図」に求めるのはどこまで妥当だろうか。ある結果の背後に悪をなしてやろうと舌なめずりする「悪人」を探してもおそらく徒労に終わる。むしろ善いことをしているつもりだったということのほうがはるかに多いのではないか。善き意図は善き結果を保証してくれるわけではない。

……

全文をRomancerで読む
若林恵さんは、自身のポッドキャストで『ネット社会を生きる10ヵ条』の第8章 “真実を語ろう” を朗読されています。
以下ボタンをクリックし、再生ボタンを押してみてください。読者の皆様に少しでも本書の魅力が伝わればと思います。
 
  朗読を聞く   
若林恵(わかばやし・けい)
黒鳥社コンテンツディレクター。2012年から2017年まで『WIRED』日本版編集長を務めた後、共同編集者として黒鳥社を設立。早期からダグラス・ラシュコフの活動に注目し、2018年に責任編集・刊行した『NEXT GENERATION BANK 次世代銀行は世界をこう変える』にてダグラス・ラシュコフ寄稿 “「デジタル分散主義」の時代へ” を翻訳掲載した。https://blkswn.tokyo/
英語版原著 推薦文より

ラシュコフはとんでもないキレ者だ。デジタル革命を誰よりも早く、深く理解した人物として彼は、インターネットがいかにビジネス文化のあり方を変革していくかを示している。

ウォルター・アイザックソン(『スティーブ・ジョブズ』伝記作家)

デジタルメディアの利用と影響、そして我々が互いに交わしているやり取りについてよく考えることは、現代の人にとって最も重要な課題の一つである。ラシュコフはそのための優れたガイドラインを提供する。TwitterやFacebookに投稿する、あるいはメールやYouTubeを使う前と後に、この本を読んでほしい。

ハワード・ラインゴールド(批評家、作家)

今の西洋にとって最も重要な問題は、公共空間と個人空間の企業による支配である。ラシュコフほど、この主題にふさわしく、洞察に満ちた挑発ができる著者はいない。

ナオミ・ウルフ(フェミニズム論者、『美の陰謀』著者)

ラシュコフは、インターネットの方向付けに貢献した。……彼は、技術と大衆文化の交わりについて検討した一連の本の著者として名を馳せ……バイラルマーケティングの概念を作り出した。

ガーディアン(イギリス大手紙)
ご推薦・ご感想をいただきました
今村正樹 様(偕成社 社長)

レイ・ブラッドベリの『華氏451度』に出てくる「ブックマン」たちは迫害を逃れて隠れ住む避難民のようにもとれますが、あれはむしろオンラインの生活を拒否するという積極的意思表示のようにも思えてきました。

大谷和利 様(テクノロジーライター、AssistOnアドバイザー)

まさに現代社会とそこに暮らす人々が抱えている(しかし、その多くが気づいていない)問題が端的に指摘されている。それは、この著者によるプロローグ的な映像でも感じられる。このような状況に無防備に晒されている若い人たちに、ぜひ読んでいただきたい。

武邑光裕 様(メディア美学者、Center for the Study of Digital Life(CSDL)フェロー)

ラシュコフは時に辛辣な言葉で語ります。彼は、10の「コマンド」で構成される10の章で、サイバー愛好家とテクノ恐怖症双方の人々に、ネット社会を生きるためのメディアの詩学とガイドラインを提示します。これは、大きな展望と実用的なメッセージで織りなされており、スマホで読むべき本でもあります。

『ネット社会を生きる10カ条』は、機械に弱い私にはあまり関係がないかもしれないし、読んでも理解できないのではないかと恐る恐る読み始めました。まだ一章しか読んでいませんが、とても納得のいく内容で、なんとコンピューター音痴の私にも役に立つ助言が書いてある事がわかりました。読み終えれば、今までとは違う態度でネットを使えるのではないかという気がします。

加藤忠一 様(『絵で見る 鉄で作られた物』著者)

10ヵ条は気づいていなかったものも多く、いずれも同意できるものばかりです。 小生はこの年代にしてはコンピューターに馴染んできました。学生時代からプログラミングを行い、世の中にホームページが現れてからはすぐに、HTMLでのホームページ作成を始め長年継続していました。しかし最近それを止めてしまいブログやfacebookに書き込むだけになってしまいました。そうすると自分でデザインを考えることもなく、まさに著者の言うように提供される技術のなすがままの状態になっています。10ヵ条のうち最後の提案であるプログラムする側に立つべきというのは、子どものときから身につけさせなければできないものかと思います。

山重壮一 様(オーテピア高知図書館)

本当にうなずけることばかりで、同じことを考えている人がいるんだと思いました。
常時オンの世界は、結局、何もない世界。技術を使う側の手に戻すことは、本当に必要だと思います。AIやネットでなんでもできるかのように思う人が、またぞろ、たくさん出てきているので、こういう本は、もっと読まれるべきです。

菊池実 様(メディア開発綜研)/『天保銭』2020年6月1日号より

本書は2010年に出された論文で、すでにフェイクやプライバシー問題も先取りしている。
高校や大学演習本としても是非勧めたい。ただ常時オンをやめると言ってもモバイルはオサイフケータイや身分証や翻訳機、さらには健康証明アプリになっている。私のような「IT時代の北京原人」はともかく、人はIT技術に一層絡め取られている。

私たちは「ぽつんと一軒屋」では生きていけない社会的生命体になってしまいました。ならば、インターネットという社会的共通資本を善循環させるためのマナーを再確認する必要があるのでしょう。「ネット社会を生きる」ということは「コロナ社会を生きる」ということになりそうです。「常時オン」にしてなければ「相手と向き合う」ことができない社会。正しさと正しさがぶつかりあって、真実が見えない社会。現実世界が分断された社会に生きる現在、デジタルの「偏向」といかにつき合っていくのか?まずは電子版でメモを入力しながら読みました。それから試読用のオンデマンド・プリント版でポストイットと鉛筆を持って読みました。
2010年にニューヨークで出版された本が2020年5月に日本で電子出版された。版元は1992年から「デジタルの未来」と格闘していたボイジャーだった。そのことの意味を10年という時の流れを反芻しながら、考え続けることになりそうです。

服部桂 様(ジャーナリスト)

本書はデジタルテクノロジーが普及することで、もともとテクノロジーを利用する人間が逆に利用されてしまう危険性を10の言葉で説き、どうすれば人としてネット社会でバランスのとれた生き方ができるかを説いたものだ。 時間、場所、選択・・・などの10のキーワードで、デジタル社会では利用者にバイアスが生じて、これまでのやり方が成り立たなくなったり人間が疎外されていると説く。
その手法は、最近のベストセラー『FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣』の手法とそっくりだ。
裏読みするとすれば、ユダヤ系のラシュコフの唱える十戒ではないか。

著者

ダグラス・ラシュコフ

1961年生まれ。米国ニューヨーク州在住。第1回の「公共的な知的活動における貢献に対するニール・ポストマン賞」を受賞。『PROGRAM OR BE PROGRAMMED』(日本語版は『ネット社会を生きる10ヵ条』[ボイジャー])、『SURVIVAL OF THE RICHEST』(邦訳:『デジタル生存競争 誰が生き残るのか』[ボイジャー])、『THROWING ROCKS AT THE GOOGLE BUS』、『MEDIA VIRUS』、『PRESENT SHOCK』など多数執筆。『NEXT GENERATION BANK 次世代銀行は世界をこう変える』で『「デジタル分散主義」の時代へ』という論考が翻訳されている。
サイト:https://rushkoff.com/

翻訳

堺屋七左衛門

大阪市生まれ、神戸市在住。大阪大学大学院工学研究科電子工学専攻博士前期課程修了。日本翻訳者協会(JAT)会員、HON.jp(日本独立作家同盟)正会員。訳書『ケヴィン・ケリー著作選集 1』(ポット出版、達人出版会)、『マニフェスト 本の未来』共訳(ボイジャー)など。
サイト:七左衛門のメモ帳

挿絵

リーランド・パービス

イラストレーター、コミック作家。全10章の扉イラストを担当。米・オレゴン州在住。代表作は『Vóx』、『Pubo』。若年層向けのグラフィックノベル、歴史小説のイラストを多く手がけ、現在は鉛筆画および水彩画を主に活動。
サイト:http://www.lelandpurvis.com/

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