デジタル出版を活用すれば、国語の授業が“深化”する!
教育ICTを導入した教育現場へのインタビュー集

編著:大塚葉

出版社名 ボイジャー
出版年月 2023年7月

電子版:1,100円(税込)
ISBN978-4-86689-329-7
印刷版:1,980円(税込)
頁数 144P 四六判

ISBN978-4-86689-330-3

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内容紹介

電子書籍作成はなぜデジタル教育に向いているのか?
追手門学院大学国際教養学部教授 湯浅俊彦氏/公立大学法人都留文科大学文学部国文学科教授 野中潤氏/専修大学文学部教授 植村八潮氏/滋賀文教短期大学国文学科 有山裕美子氏等へのインタビューをもとに、電子出版WEBツール「Romancer(ロマンサー)」活用実例をレポートする!

教育現場へのICT(情報通信技術)導入が進んでいる。プロジェクターやデジタル教科書の採用、生徒や学生一人1台の情報端末利用などにより、紙中心だった従来の学校教育が大きく変わろうとしている。このような中、ボイジャーのデジタル出版ツール「ロマンサー」や「ロマンサークラスルーム」を国語の授業に導入し、「学びの質」を向上させる取り組みを始めた大学や小中学校がある。本書ではこうした学校現場での電子書籍の活用事例を、インタビューを通じて紹介する。
これからのデジタル教育や学校図書館のあり方についても考察する。

追手門学院大学国際教養学部教授、大学附属図書館長 湯浅俊彦先生

公立大学法人都留文科大学文学部国文学科 野中潤先生(中央)

大塚 葉(おおつか よう)

1984年早稲田大学法学部卒業後、技術評論社に入社。パソコン関連の雑誌、書籍の編集に携わる。1996年、日本初の女性向けパソコン誌「パソコンスタイルブックfor Women」を創刊。現在は日経BP総合研究所上席研究員シニアコンサルタント。人的資本経営、ダイバーシティ、働き方改革に関する講演や執筆多数。主な著書に『人材マネジメント革命~会社を変えるカリスマ人事たち~』『ミリオネーゼのコミュニケーション術』(ディスカヴァートゥウェンティワン)など。裏千家茶道助教授として茶道教室も展開する。

ICT教育で活動する先生たち
東京都立大泉高等学校・附属中学校 主任教諭 石鍋雄大先生

1987年生まれ。文教大学教育学部卒業後、筑波大学大学院教育研究科で国語教育を専攻。
2013年に東京都立豊島高等学校に赴任後、2017年に東京都立大泉高等学校・附属中学校に赴任し、言語文化と現代の国語を担当している。「楽しくて力の付く授業」を目指して授業デザインを行う。
ICTの使用や外部との連携を通して、生徒が教室の外に目を向けられる授業を目標としている。

公立大学法人都留文科大学 文学部国文学科 教授 野中潤先生

1962年神奈川県生まれ。1985年東京学芸大学卒業、1988年同大学院修士課程修了。
2016年4月都留文科大学准教授に着任、2018年4月から現職。日本文学協会運営委員、昭和文学会幹事、横光利一文学会評議員・運営委員、現代文学史研究所常任幹事・事務局長。GEG Fujiリーダー、Edcamp Japanメンバー、Google for Education認定イノベーター、Canva認定教育アンバサダー。
主な著書に『ICTで変える国語授業』1~3(編著、明治図書出版)など。

追手門学院大学 国際教養学部国際日本学科 教授、附属図書館長 湯浅俊彦先生

1955年生まれ。1978年旭屋書店に入社し、外商部員として勤務。
2005年、大阪市立大学創造都市研究科修士課程(都市情報学)修了。2007年大阪市立大学都市研究科都市情報環境研究領域博士課程修了。博士(創造都市)。2007年夙川短期大学児童教育学科特任准教授に就任。2011年立命館大学文学部准教授、2012年文学部教授。2019年4月より現職。
専門分野は図書館情報学、出版学。著書に『電子出版学概論』(単著、出版メディアパル、2020年)など、共著を含め40点。

専修大学 文学部 教授 植村八潮先生

1980年に東京電機大学工学部を卒業し、東京経済大学大学院博士課程修了。
東京電機大学出版局勤務、同局長を経て、2012年に専修大学文学部教授に就任。同年から2014年まで出版デジタル機構代表取締役、会長を務める。専門分野は出版学とコミュニケーション学で、日本の電子書籍の研究、普及、標準化に長らく携わってきた。
近著に『図書館のアクセシビリティ:「合理的配慮」の提供に向けて』(樹村房、編著)、『ポストデジタル時代の公共図書館』(勉誠出版、共編著)など。

学校法人松翠学園 滋賀文教短期大学 国文学科 講師 有山裕美子先生

1985年都留文科大学卒業後、障碍者者施設の指導員を経て、座間市立栗原小学校に勤務。退職後司書の資格を取得し、1999年に座間市立図書館の非常勤職員となる。2007年、府中市立中央図書館TRCスタッフとして勤務。2008年工学院大学の嘱託職員になり、2013年同大学附属中学校高等学校国語科教諭・司書教諭。2021年4月~2023年3月まで、軽井沢風越学園に勤務。
主な著書に『学校経営と学校図書館』(共著、全国学校図書館協議会、2019年)など。学校図書館や国語教育とICT、学校現場における情報リテラシーなどに関する論文、講演多数。都留文科大学、法政大学の非常勤講師も務める。

推薦コメント

生徒が出版を通じ「書く」ことの喜びを体験できるICT活用国語授業最前線!
 本書は、現職国語科の先生方はもちろんのこと、これから国語科教諭を目指す学生の皆さんにもお読みいただきたい先端国語科指導法がつまった一冊です。
 さて、学校教育で推進されているICTを活用した各教科指導のなかで、後れを取っており最後の壁と言えるのは「国語科」教育です。そもそも国語科教育は「聞く」「話す」「読む」「書く」が中心の教科で、ここにICTを必要とする、あるいは効果的に介在させる法術が十分見いだせず、無理やりICT活用を進めることも不合理なのが現状と考えられます。一方、現行の中学高校指導要領(中学H29年、高校H30年告示)では言語活動(議論やレポート作成)が重要視され、国語科教育内では、文学的学習と明確に分けて言語能力の確実な育成を目指す編成となっております。その中でも特に、自分の考えや意見などを正確に伝える論理的な文章が書けることが明記されており「書く」能力の重要性が強調されております。しかし、当の生徒たちはこのような文章を「書く」ことに興味が向かないばかりか苦手意識が高いのが現状です。そもそも「考えや意見などを正確に伝える」文章を書くには大変な労力が必要で、この内容が教科担当の先生や教室内でしか読まれないなら、書いてみたいと思える動機づけに乏しいと考えられます。

 本書「国語の授業、最前線!」では、このような国語科が抱える膠着した前線を打破した「最前線!」が記されております。キーとなるのはICTツールで、電子出版の草分けである「株)ボイジャー」が開発した一般向けデジタル出版ツール「Romancer(ロマンサー)」と、これを学校教育向けに拡張した「ロマンサークラスルーム」になります。これらのツールは、1章で紹介されるとおり、オールインワンパッケージでだれでも執筆からデジタル出版までを可能とする優れたツールであり、とても敷居が高い「出版」を身近なものにしてくれるシステムです。本来、これまでの国語科「書く」指導において「出版」までの仕組みを説明し、かつ体験まで実現する授業は殆ど無いと考えられます。しかし、本書2章では、中学国語科授業内において生徒作品を出版までする授業事例が解説されているほか、4章では複数の中学高校の授業内で実際に出版された書籍が紹介されておりました。これは、国語科教育における効果的なICT活用事例であり、かつ、生徒に文章を「書く」目標として「出版」を示し、書くことの意義と喜びを実感してもらえる好事例と考えられます。これらの事例は、国語科言語活動関連科目におけるICTを活用した学習指導案を作成する指針ともなる内容です。加えて、3章では「デジタル出版」を足掛かりに、デジタル文章と国語科教育に関する示唆に富んだ議論が展開され、デジタル社会におけるこれからの国語科教育を考える上でのヒントがたくさんちりばめられた内容です。
 以上のとおり、本書は未来の国語科教育を考える上で大変参考になる内容に富んでおり、まだまだ長い国語科教諭人生を歩まれる方には特にお勧めしたいと思います。


  谷田貝雅典(共立女子大学 文芸学部/共立女子大学大学院 文芸学研究科)
目次

デジタル一滴シリーズ 刊行に寄せて
はじめに


第1章 ロマンサーがデジタル教育を支援する
 デジタル出版を活用した国語教育の広がり
 デジタル出版ツール、ロマンサーを使ってみよう

第2章 教育現場でのデジタル出版最前線!
 中学から大学まで、デジタル出版で学ぶ学生たち
 ケーススタディ1 15歳でデジタル出版に挑戦、国語の授業を通じて知的探究を推進する 東京都立大泉高等学校国語科 石鍋雄大先生に聞く
 ケーススタディ2 グーグル教育ツールや電子出版で、さまざまなアウトプットに挑戦する 公立大学法人都留文科大学文学部国文学科教授 野中潤先生に聞く
 ケーススタディ3 こども園から大学まで「図書館中心の学校」コンセプトを進める 追手門学院大学国際教養学部教授 湯浅俊彦先生に聞く

第3章 どうなる?これからのデジタル出版
 デジタル出版で市場や教育現場はどう変わるか
 インタビュー1 「デジタルファースト」時代の出版は見せ方や読み方が問われるようになる 専修大学文学部教授 植村八潮先生に聞く
 インタビュー2 デジタル出版を通じて互いに交流し「書く」と「読む」の力を向上する 滋賀文教短期大学国文学科講師 有山裕美子先生に聞く

第4章 学校現場でのロマンサー活用事例
 先生と生徒によるロマンサー作品を紹介

第5章 ロマンサー導入校に使用感をアンケート
 導入3校に聞く、ロマンサーのメリットと課題

おわりに

著者関連書籍(無料)
著者:都立大泉高等学校附属中学校10期生

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シリーズ / デジタル一滴

2010年以降、スマートフォン、インターネットの普及が急激に進み、ジャンルを問わずデジタル出版はすっかり社会に溶け込みました。目が見えない、体が動かせないといった障がいを持つ方たちの読書の手助けにもなろうとしています。デジタル一滴シリーズは、教育現場や読書バリアフリーなども含め、数多くの実例をとおしてデジタル出版のさらなる可能性を探ります。デジタルの一雫、Each Drop of Digitalで出版は多様性を取り戻せるのか? 関係者の哲学や活動を紹介するシリーズです。
※「一滴」は、南米の民話に登場するクリキンディという名のハチドリが、嘴に水を含み、一滴の水で山火事を消そうとしていることをモチーフにしています。

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