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作品説明
チベット問題は、二一世紀に残る大きな課題の一つである。これらは、よく漢民族とチベット民族のあいだの民族問題とされる。そう考える人々にとっては、冒頭のような光景は信じがたいかもしれない。しかし、それは紛れもなく現実である。そしてこの光景はチベット問題を単なる民族問題とみるべきではないことを如実に物語っている。
では、このチベット問題を我々はどのようにみるべきなのであろうか? 本著ではこの問題について、民族意識と仏教をキーワードとして考えていきたい。具体的には、まずチベットが「近代の衝撃」を受けた結果、原初的ながら民族意識が生まれ、「近代国家」を目指したダライラマ十三世時代を中心に、一九五九年の十四世亡命までの状況をふり返る。その際には﹃見えざる者の案内﹄や﹃ダライラマ十三世伝﹄といったチベット語史料を中心に、英語や漢語の史料も用いる。チベット語史料を中心にするため、その歴史はチベットから見たものとなる。そして後半は、現在のチベット、特に亡命チベット人社会の状況について紹介することとする。(本文より抜粋)
【目次】
はじめに
一 一九五一年以前のチベットの状況
1 チベットの「前近代」
2 チベット民族意識の萌芽──ヤングハズバンドの遠征と清朝軍のラサ侵攻(一八七六─一九一三)
3 ダライラマ十三世による「近代化」運動とその挫折(一九一三─一九三三)
4 ダライラマ十四世の登場と人民解放軍のラサ進軍、十四世の亡命(一九三四─一九五九)
二 チベット人の民族意識
1 中国領チベットと亡命チベット人社会における「民族」──チベット族とチベット人
2 民族意識の源泉──亡命チベット人社会における中国政府の弾圧の記述
3 チベット民族意識の拡大──「ヒマラヤ民族運動」
三 チベット民族と仏教
1 民族意識とチベット仏教
2 民族を越えるチベット仏教──ダラムサラの漢人たち
おわりに
補遺
あとがき