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鎌倉幽世八景
文学谷戸、切通し、やぐら、古刹と地蔵。喧噪の都市の奥深く透視される悠久の中世の時間。魔術たる作家の筆が、もののふの声を呼びおこす。観光地カマクラの白日の下に、屍の蔵たる鎌倉の、幽玄なる景色がここに現われる。(富岡幸一郎)扇ガ谷、十王岩、袖塚、唐糸、飢渇畠、太刀洗、腹切やぐら、化粧坂……鎌倉の地に現存する「八景」は古の戦いと悲哀の歴史を今日まで伝えている。付録 文学における土地の力 対談 藤沢 周×佐藤洋二郎「季刊文科」連載作が待望の単行本化!【目次】扇ガ谷十王岩袖 塚唐 糸飢渇畠太刀洗腹切やぐら化粧
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鎌倉 北条と京都 定家【春の夜の夢】
歴史/時代小説「吾妻鏡」と「明月記」を紐解き四十年に渡る日本歴史の一大転換期を克明に描く歴史小説源頼朝と政子の運命的な出会いから鎌倉に武士の都を築くために頼朝を支え続けた北条義時の奮戦記一方、同時代の京都を舞台に、百人一首を撰集した歌人藤原定家を通して宮廷の雅な世界に触れ、詠み人たちの人物像を照らす話題作【目次】ミスト 藤原定家佐殿と政子頼朝旗揚げ藤原兼実後白河法皇亀の前源義仲豊明節会静御前頼朝上洛大姫上洛後鳥羽上皇源頼家畠山騒動和田合戦実朝暗殺承久の乱あとがき
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神とともにみる夢
宗教/キリスト教教会だけではなく、都市全体に驚くべき変革をもたらしているベテル教会。その働きは神とともに見る夢から始まりました。前作「奇跡への入り口」から一歩進んで、神のアイデアを実現するために、具体的で実践的な方法を教えています。神は夢を見るお方であり、神の夢をともに見る人々を探しておられます。わくわくするような実例と証を豊富に含めながら、御言葉を深く解き明かし、読者をより偉大な願いとその実現へといざないます。【目次】序文はじめに第一章 神と協力して働く第二章 創造的であること第三章 奥義の価値第四章 御霊の
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紙一重
文学平野をつっぱしる中仙道のほとりに、私立K脳病院は玄関口を街道にひろげて建っている。明るい近代的な建物ともみえるが、一足裏に回れば風雪にさらされた幾棟かの病舎がいかにも世ばなれた形でかくれている。ひろびろとした田圃の中に黒い瓦ぶきのその病舎はいかにも時代めいた姿だ。明治時代の小学校かとも見えるその変てつもない建物の中には、二百人の変てつ者がひっそりと世をはなれ、時に猛獣となる危険を内にひそめたしずかな喧噪さで暮している。みんな、いわば破れた風船を心の中に抱いているような人々だった。
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カミュとヴェイユ 信仰と愛をめぐって
エッセイヴェイユとカミュの関係は微妙で難しい、だから面白い。ヴェイユの死後、彼女が書き残していた原稿をカミュが読みその意義を認めて、ヴェイユを世に紹介する労をとったのである。我々はカミュのヴェイユ理解と評価を知ることができる。しかし、ヴェイユはカミュを知らないし、彼女のカミュ理解・カミュ評価を直接に知ることはできない。それでも、我々はヴェイユの事績・ヴェイユのテストの中に彼女のカミュ評価を推測することはできるであろう。【目次】第1部第1章人間のいない自然-カミュの原点-第2章不条理の倫理と神の拒否第3章
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カムイの言霊 物語が織り成すアイヌ文様
文化/民俗神(カムイ)と自然と人間(アイヌ)が混然一体となって織り成されたアイヌ文化は、様々な詩や物語などに編まれ、口承により受け継がれてきた。山本多助エカシによる意訳詩のほか、アイヌ・モシリの創世神話、ヒグマなどカムイが語る昔話も多数掲載。アイヌ口承文化の「聞き手」から「語り部」となったチカップ美恵子が贈る、「カムイの言霊」。【目次】はじめに――雷神の歌第一章 大地の鼻(岬)第二章 ウラリ・オマ・ナイ第三章 対極からのメッセージ第四章 時代を越える精神世界第五章 湿原は物いわぬ語り部(歴史の証人)第六章
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カメラは光ることをやめて触った
詩/短歌/俳句夏の井戸(それから彼と彼女にはしあわせな日はあまりなかった)我妻俊樹の短歌を初めて集成する待望の第一歌集。誌上歌集「足の踏み場、象の墓場」から現在までの歌を含んだ唯一無二の686首。電子版にはおまけの栞は付属致しませんので、ご了承下さい。【目次】Ⅰ カメラは光ることをやめて触った喫煙する顔たち 偶然はあれから善悪をおぼえた窓をみせる穴 どちらも蜘蛛の巣の瞳 花瓶からきこえてくる朗読 学園への執着 その緑地 カメラは光ることをやめて触った サマーグリーン 星に見えない何か 猛獣
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寡黙なる饒舌 建築が語る東京秘史 [電子改訂版]
エッセイ東京駅が皇居を向いて建設された理由など建築と権力の関係や、明治期に活躍したジョサイア・コンドル(ニコライ堂、帝室博物館、鹿鳴館などを設計)やフランク・ロイド・ライト(東京帝国ホテル、自由学園などを設計)などの外国人建築家とその弟子たちの手による建築物の紹介、そして辰野金吾や安藤忠雄、村野藤吾、篠原一男などの建築家の作風や建築観を詳解する。軽くするすると読める筆致ではあるものの建築家ならではの鋭い視点が興味深く、知的好奇心を刺激される。建築家・東京大学特別教授 隈研吾氏推薦。【目次】Ⅰ・天皇の街東
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カラ売り屋、日本上陸
経済/社会小説ニューヨークのカラ売り専業ファンド、パンゲア&カンパニーは、傘下のMS法人を使って病院買収に邁進する巨大医療グループ、架空売上げの疑いがあるシロアリ駆除会社、タックス・ヘイブンを悪用して怪しい絵画取引を行う総合商社絵画部とそれぞれ対決。窮地に追い込まれた相手は、何とか株価を吊り上げ、パンゲアを叩きつぶそうと画策するが――。金融市場に蠢く男たちの息詰まる攻防戦の果てに見えた日本経済の病巣とは!?【目次】病院買収王、シロアリ屋、商社絵画部