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カッコの多い手紙
外国文学ミュージシャンで、フェミニズムの同志。先行き不明のコロナ禍に交わされたイ・ランとスリークふたりの往復書簡。猫と暮らすこと、妊娠する身体、憂鬱な心の話を分かち合い、ヴィーガニズムや反トランスジェンダー差別を語り合う。私的なことと社会的なこと、共感と対話のあいだを行き来しながら紡がれる優しくゆたかな言葉たちは、あたらしい距離を測りつづけている。【目次】こんなご時勢にお元気ですかと聞くのは失礼でしょうか?もうひとり、名前が2文字のスリークへ猫と話すことができたならジュンイチが不快に思うのが“わたし”だ
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カフカがサラリーマンだったって知ってましたか?
外国文学フランツ・カフカは20世紀初頭のサラリーマンだった。しかし、そのことを研究した人はいない。ここには大きな問題が隠されており、その文学とともにサラリーマンを生きぬいた人でもあった。このことは強調してもしすぎることはない。だって、だれもサラリーマンの本質を知らないのだから。それを知るといかに束縛されたい生き方であるかがわかる。それをカフカは芸術へと切り開いた。彼を見習って、自立しよう。 【目次】 はしがき 第一章 サラリーマンだったカフカ 第二章 引きこもってはいけない 第三章 他者の
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鎌倉幽世八景
文学谷戸、切通し、やぐら、古刹と地蔵。喧噪の都市の奥深く透視される悠久の中世の時間。魔術たる作家の筆が、もののふの声を呼びおこす。観光地カマクラの白日の下に、屍の蔵たる鎌倉の、幽玄なる景色がここに現われる。(富岡幸一郎)扇ガ谷、十王岩、袖塚、唐糸、飢渇畠、太刀洗、腹切やぐら、化粧坂……鎌倉の地に現存する「八景」は古の戦いと悲哀の歴史を今日まで伝えている。付録 文学における土地の力 対談 藤沢 周×佐藤洋二郎「季刊文科」連載作が待望の単行本化!【目次】扇ガ谷十王岩袖 塚唐 糸飢渇畠太刀洗腹切やぐら化粧
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鎌倉 北条と京都 定家【春の夜の夢】
歴史/時代小説「吾妻鏡」と「明月記」を紐解き四十年に渡る日本歴史の一大転換期を克明に描く歴史小説源頼朝と政子の運命的な出会いから鎌倉に武士の都を築くために頼朝を支え続けた北条義時の奮戦記一方、同時代の京都を舞台に、百人一首を撰集した歌人藤原定家を通して宮廷の雅な世界に触れ、詠み人たちの人物像を照らす話題作【目次】ミスト 藤原定家佐殿と政子頼朝旗揚げ藤原兼実後白河法皇亀の前源義仲豊明節会静御前頼朝上洛大姫上洛後鳥羽上皇源頼家畠山騒動和田合戦実朝暗殺承久の乱あとがき
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紙一重
文学平野をつっぱしる中仙道のほとりに、私立K脳病院は玄関口を街道にひろげて建っている。明るい近代的な建物ともみえるが、一足裏に回れば風雪にさらされた幾棟かの病舎がいかにも世ばなれた形でかくれている。ひろびろとした田圃の中に黒い瓦ぶきのその病舎はいかにも時代めいた姿だ。明治時代の小学校かとも見えるその変てつもない建物の中には、二百人の変てつ者がひっそりと世をはなれ、時に猛獣となる危険を内にひそめたしずかな喧噪さで暮している。みんな、いわば破れた風船を心の中に抱いているような人々だった。
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カミュとヴェイユ 信仰と愛をめぐって
エッセイヴェイユとカミュの関係は微妙で難しい、だから面白い。ヴェイユの死後、彼女が書き残していた原稿をカミュが読みその意義を認めて、ヴェイユを世に紹介する労をとったのである。我々はカミュのヴェイユ理解と評価を知ることができる。しかし、ヴェイユはカミュを知らないし、彼女のカミュ理解・カミュ評価を直接に知ることはできない。それでも、我々はヴェイユの事績・ヴェイユのテストの中に彼女のカミュ評価を推測することはできるであろう。【目次】第1部第1章人間のいない自然-カミュの原点-第2章不条理の倫理と神の拒否第3章
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カメラは光ることをやめて触った
詩/短歌/俳句夏の井戸(それから彼と彼女にはしあわせな日はあまりなかった)我妻俊樹の短歌を初めて集成する待望の第一歌集。誌上歌集「足の踏み場、象の墓場」から現在までの歌を含んだ唯一無二の686首。電子版にはおまけの栞は付属致しませんので、ご了承下さい。【目次】Ⅰ カメラは光ることをやめて触った喫煙する顔たち 偶然はあれから善悪をおぼえた窓をみせる穴 どちらも蜘蛛の巣の瞳 花瓶からきこえてくる朗読 学園への執着 その緑地 カメラは光ることをやめて触った サマーグリーン 星に見えない何か 猛獣
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カラ売り屋、日本上陸
経済/社会小説ニューヨークのカラ売り専業ファンド、パンゲア&カンパニーは、傘下のMS法人を使って病院買収に邁進する巨大医療グループ、架空売上げの疑いがあるシロアリ駆除会社、タックス・ヘイブンを悪用して怪しい絵画取引を行う総合商社絵画部とそれぞれ対決。窮地に追い込まれた相手は、何とか株価を吊り上げ、パンゲアを叩きつぶそうと画策するが――。金融市場に蠢く男たちの息詰まる攻防戦の果てに見えた日本経済の病巣とは!?【目次】病院買収王、シロアリ屋、商社絵画部
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カルチャーセンター
文学松波太郎はそこにいた。カルチャーセンターで共に過ごしたニシハラくんの未発表小説『万華鏡』が収録され、作家や編集者たちから寄せられたコメントに、松波太郎の説明責任までもが生じてくる文章と空白の連なり……松波太郎は、ニシハラくんに語りかける。「どうかな? これは何だろう? 小説なのかな?」 松浦理英子さん推薦!「小説を書きたいという欲望に憑かれていた若くほろ苦い日々を、哀惜をこめて振り返る松波太郎は本物の作家である」【目次】
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カレドニアン・ローズ
ミステリーおとぼけの日本人と才色兼備の英国人が珍妙な道中をしながらスコットランドの古城、謎を解こうとするが。。。【目次】プロローグ一章 クライ・オブ・ザ・ナイト二章 謎へのリンク三章 エディンバラを探せ四章 王家の秘密とストラスモア・キングホーン伯爵家五章 スターリング城とロバート・ブルース六章 ブレア城と私兵団七章 カローデン古戦場とテンプル騎士団八章 秘密の守護者エピローグ