栗本薫電子本シリーズ

知られざる栗本薫を、デジタルで

栗本薫といえば、100巻を越える『グイン・サーガ』、クトゥルー神話をモチーフにした『魔界水滸伝』、名探偵『伊集院大介』シリーズなどベストセラー作品が多々あります。その活躍の幅は、ファンタジー、SF、ミステリ、時代小説、耽美小説、中島梓名義では評論・エッセイと多岐にわたり数多くの作品を発表してきました。その中には、商業出版に乗らなかった作品、単行本化されなかった作品、紙として出版されたが絶版になって手に入らなくなった作品も多々あります。「栗本薫 電子本シリーズ」ではそういった作品を中心に電子化し、読者のみなさまに今、お届けします。

栗本薫とは?
栗本薫

栗本薫

1953年東京生まれ、2009年病没。1977年群像新人文学賞評論部門を、1978年江戸川乱歩賞を受賞して文壇デビュー。小説は栗本薫名義、評論などその他の活動は中島梓名義で発表する。正伝130巻、外伝21巻のグイン・サーガ・シリーズ、伊集院大介シリーズ、魔界水滸伝などのシリーズ作品をはじめとする小説のほか、評論、エッセイなど400点を越える著作が刊行された。また、ミュージカルを手掛けるほかジャズ・アルバムとして「THE LAST LIVE」がある。

栗本薫作品の魅力ライター:納富 廉邦

栗本薫作品の魅力について書けと言われてホイホイ引き受けちゃった訳だけれども、よく考えてみるまでもなく、そんなのは書けるわけがないのだ。中学三年生だった僕は『ぼくらの時代』を読んで、バンドを始めたし、病気で寝ている事を幸いと親に頼んで買ってきてもらった『SFマガジン[1]』は、グイン・サーガ「豹頭の仮面」の第一話が掲載されていて、それ以降、毎月SFマガジンを買うようになったし、雑誌『綺譚』で連載されていた「魔剣」を読んで、国枝史郎を知り、伝奇の面白さを求めて歌舞伎にのめり込み、中島梓名義のエッセイで、文末にBGM[2]を書く事を覚え、「ぼくら」の薫クン[3] が結婚し、子供ができる『怒りをこめてふりかえれ[4]』を、子供ができた事を知らされた日に購入していたりと、もう、僕の人生はどっぷりと栗本薫の物語に侵されていて、何が魅力か、どこが面白いか、なんてもう客観的に見る事はできないのだ。

分かっているのは、栗本薫の小説は僕にとって全部面白いということ。そして、様々なジャンルを横断したマルチな作家というイメージを、僕は全く持っていないということ。栗本薫は、いつも、ずっと「面白い物語」を書いているだけで、彼女にとって「ジャンル」とは物語というソフトウェアを走らせるためのハードウェアだったのだろうということ。

もう20年近く前に、僕は栗本薫さんのインタビュー記事を書いている。その中で、僕の、“ネットワークやデジタルな文化は、物語の新しい可能性を生むのでしょうか?”という質問に対しての彼女の答えはこうだ。

“それはもう新しい文化が登場すればそれにともなって新しい可能性は必ずあります。ただ、ハードが定着すればするほど問題となってくるのはソフトのよしあし、あるいはソフトの有無、ソフトの層の厚さである、ということはかたく信じています。この場合はハードはすなわちデジタルな文化そのものの方です。ソフトは『それを使ってどんな物語が描かれ得るか』ということです。新しい可能性はむしろ、人間性の新しい地平を切り開いてみせるようなものではなく、いかに深く人間性の昔ながらの真実のなかに入ってゆくかにあり、そして新しいハードがそれをより豊かに補助することができるのが正しいのだと思っています。結局は、作家そのものの人間性と創作力が伴わぬ限り、新しい文化は新しい物語に直結はしないでしょう。”

『十二ヶ月 栗本薫バラエティ劇場[5]』という本は、小説新潮誌の連載として、12ヶ月にわたって12のジャンルを書き分けた作品集だ。そこに書かれているのは、「心理ミステリー」「時代小説」「社会ミステリー」「芸道小説」「青春小説」「SF小説」「風俗小説」「捕物帳」「都会派恋愛小説」「本格推理」「私小説」「ヒロイックファンタジー」の12ジャンル。これを毎月一本づつ書いていたのだから、恐ろしい才能だと思うのだけれど、しかし、もしかしたら栗本薫という作家にとって、これはそれほど大変な作業ではなかったのではないかと思うのだ。

枠としてのジャンル(ハードウェア)があって、その中で動く人間がいれば、そこに物語(ソフトウェア)は生まれる。物語は、ジャンルの中で、そのジャンルが要求するフォーマットの中に正しく配置され、構造ができあがる。その構造に則して人間が動く事で小説になる。膨大な物語をその身に宿した彼女だからできた事ではあるけれど、どのハードウェアを使っても、そこに描かれるのは「人間性の昔ながらの真実」を物語に託した小説。だから、それを読む僕はいつも、時代小説を、ミステリを読むというより、栗本薫が紡ぐ「物語」を読んでいる。

栗本薫が創造した二大名探偵、伊集院大介[6]氏と栗本薫クンが共演(このスターシステム[7]も僕は手塚治虫ではなく栗本薫に教えてもらった)する『猫目石[8]』の中で、薫クンは伊集院大介に言う。

“あなたはすごく、論理と正確さの鬼だったんだな。びっくりした”

栗本薫の物語も、僕には「論理と正確さの鬼」のように見える。『十二ヶ月 栗本薫バラエティ劇場』の「捕物帳」の前書きで彼女は、“捕物帳といえば内容よりむしろ、どんな主人公を立てるか、が見どころとなる”と書いているのだけど、こういう「ジャンル」の本質の喝破と、そのジャンルへの敬意、そして、そのジャンルの名作を膨大な量読んで、そこから抽出された、そのジャンルをジャンルたらしめているものの中から生まれる物語は、いつも、そのジャンルのど真ん中を射貫いて、栗本薫が紡ぐ物語であると同時に、そのジャンルの魅力そのものを描いているように僕には感じられる。だから、栗本薫が書くミステリを読めば、「面白いミステリ」がどういうものかが分かる。SFを読めば、「SFのスピリット」が分かる。僕はそうやって、栗本薫の小説に、娯楽小説の歴史を教えてもらった。小説の「面白さ」が何なのかを教えてもらった。そこにあるのは、いつも、ロジカルに組み上げられた「ジャンル」そのものなのだ。

一方で、同じインタビューの中で“やはり時代と共にありたいと思いますし、最も現代を象徴している世界には、やはりフィックス していたいと思います。基本的には「人間さえいれば、そこにはミステリーが成立する」というのが私の考えですので、ただ「新しい衣」には常に興味がある、ということでしょうか。”という事も言っている。この「新しい衣」を担うのが、薫クンなのだと思うのだ。やはり『猫目石』の中の薫クンのセリフ。

“スターウォーズにドッペルゲンガー、『火星年代記』か。――― SFだな。”

薫クン得意のパターン認識。このセリフに、伊集院大介は面食らう。これこそが、ロジカルなだけではない、栗本薫の物語のもう一つの核。まるで機械仕掛けのシェヘラザード[9]のように、材料を放り込めば物語が生成されるようなロジカルさと同時に、右往左往し、迷って、フラフラしながら、最終的な何かに、新しい文化や事象をパターン認識で物語に組み込みながら歩き続ける薫クンは、もう一人の栗本薫なのだ。だから、『猫目石』は二大探偵の激突ではなく、二つのドッペルゲンガーの物語に結実する。物語の中に描かれた、栗本薫という作家の物語の作り方を分解して提示したような作品になっていると思う。

そうして作られた「小説」は、だから全部「面白い物語」になっている。物語の面白さを抽出して、再構成しているのだから面白くないわけがないのだ。だから、栗本薫の小説は色褪せない。25年前、『黒猫館の殺人』が出たばかりの頃の綾辻行人さんが、インタビュー後の雑談で“栗本薫さん、大好きなんですよ。あの美しさが”と言っていたのが、今でもとても印象に残っているのだけど、多分、この「美しさ」が、きっと栗本薫作品の魅力なのだ。「面白い物語」として組み上げられた構築物の美しさ。それが、栗本薫が考える「小説」だったのではないかと、僕は思っているけれど、そこは、「栗本薫の物語」にどっぷり侵された僕だから信憑性は薄いかも知れない。

BGM:
PANTA & HAL「ステファンの6つ子」
甲斐バンド「ポップコーンをほおばって」
沢田研二「探偵(哀しきチェイサー)」
浅川マキ「それはスポットライトではない」
郷ひろみ「ハリウッド・スキャンダル」
イーグルス「ホテル・カリフォルニア」
ピンクフロイド「あなたがここにいてほしい」

納富 廉邦
フリーライター。エンターテインメント全般をフィールドに、「MONOマガジン」「⼣刊フジ」「朝日新聞」「ココカラ」などの雑誌をはじめ、書籍、ネットなど、さまざまな媒体で執筆。著書に「子供の本がおもしろい!」(アスペクト)、「大人カバンの中身選び」(玄光社)他多数。小物王とも呼ばれ、グッズの使いこなしや新しい視点でのモノの遊び⽅、選び⽅、モノのプロデュースなどでも活動しています。
  1. ^ 早川書房が発行しているSF専門雑誌の通称。正式名称は『S-Fマガジン』。栗本薫 電子本シリーズを刊行している天狼プロダクションの今岡清氏は元S-Fマガジン編集長。
  2. ^ その原稿を書いている時に聴いていた曲を文末に挙げるスタイルは、栗本薫の小説のあとがきや中島梓のエッセイの名物だった。
  3. ^ 伊集院大介最後の推理(特設ページ)の主な登場人物を参照。
  4. ^ 伊集院大介登場作品を参照。
  5. ^ 十二ヶ月 栗本薫バラエティ劇場(作品ページ)
  6. ^ 伊集院大介最後の推理(特設ページ)を参照。
  7. ^ マンガや小説において、同一の作家が同じ登場人物を俳優のように扱い、異なる作品中に様々な役柄で登場させるような表現スタイル。
  8. ^ 伊集院大介登場作品を参照。
  9. ^ 千夜一夜物語の語り手。
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作品紹介
最新作品

7/15発売 シリーズ第9弾。金井恭平は失踪、そして矢代俊一にもまた新興宗教団体頌霊教団の魔手が迫る!

GENTLE RAIN <矢代俊一シリーズ9>

新興宗教団体頌霊教団とのトラブルから突如失踪した金井恭平。そして、最愛の人を失い失意のうちにあった矢代俊一だが、その俊一にも教団の魔手は迫る。俊一に横恋慕するカメラマン渥美の常軌を逸した求愛に心身共に痛めつけられ隙を見せた俊一はあやうく拉致されかけ、陰ながら見守っていた黒田の出現で事なきを得たものの、さらに長野ツアー中に襲われて勝又英二は重症を負い全国ツアー中の矢代俊一バンドはドラムに急遽代役を立てる事態にすらなってしまうのだった! 矢代俊一シリーズ第9巻。

栗本薫、幻のシリーズがここに復活

YOU DON’T KNOW WHAT LOVE IS——恋の味をご存じないのね <矢代俊一シリーズ1>

世界のヤシロとその名を讃えられる天才サックス奏者、矢代俊一。音楽に身を捧げ、妻との死別もマフィアとの軋轢も乗り越えてきた彼が、不惑の歳を過ぎて初めて知る、狂おしい恋の味。男性同性愛という形による、どうにもならない激しい衝動と音楽にかける想いの物語。
栗本薫が亡くなる1ヶ月前まで書き続けられた2万枚もの遺稿は、天狼プロダクションによって自費出版された後に絶版となったが、没後十年を経た今、電子版として、正伝25巻、外伝18巻(未完作品を含む)に及ぶシリーズが復活する。

この本の書評

栗本薫がその生涯で最も長く書き続けたという、天才サックスプレイヤー矢代俊一の物語は、映画化もされた『キャバレー』から始まり、絶筆となった未完の作品『トゥオネラの白鳥』まで続いている。しかし、商業出版されたのは、その初期の4冊で、その後の膨大な物語は、同人誌として天狼プロダクションから発売された。入手しづらいこと、やおいが中心の物語であることなどから、私はそれらの作品を未読のまま来たのだけど、今回、電子書籍として刊行されるということで、ようやく、もう作者は亡くなってしまったというのに、本当にようやく、その最初の一冊である『YOU DON’T KNOW WHAT LOVE IS』を読んだ。
そして、「ああ、これは紛う事無き栗本薫の小説だ」と、その身体に馴染んだ文章のリズムに身を任せていて、いきなり気がついたのは、この物語の文章の肌触りが、他の小説とは全く違うのに、とても知っているものだということ。何だろうと思い返して気がついたのは、この文章は、栗本薫の「あとがき」の肌触りと同じだということ。商業出版の軛から離れて、自在に書いていることから来る、未整理なのに物凄くリアリティのある饒舌な会話も、矢代俊一のモノローグも、その全部に、中島梓ではない、小説家栗本薫としての地の文というか、キャラクターのようなものが感じられるのだ。その文章で、セックスを音楽に翻訳し、それを文章の形で読ませるという、アクロバティックなスタイルで、矢代俊一の新しい出発までの道程が描かれるのだから、面白くないわけがない一方で、天才の孤独が栗本薫自身に重なって、冷静に読んでいられなかったりもする。矢代俊一を、傍観者観察者のプロたる伊集院大介の目で描いた、ある意味、世間への大人になった矢代俊一の紹介状のような物語『身も心も 伊集院大介のアドリブ』の中で、もう一人の主人公とも言えるサックスプレイヤーの金井恭平は矢代俊一を評して言う。

「ああ、こいつは、この世界で、一番幸せで、そして一番可哀想なやつなんだな、ってさ」

今年、栗本薫の編集者であり夫でもある今岡清氏が出版したエッセイのタイトルは「世界でいちばん不幸で、いちばん幸福な少女」だった。そういうことなのだと思う。

栗本薫・中島梓関連の作品一覧
  • MY ONE AND ONLY LOVE<矢代俊一シリーズ24>の書影686円2024/02/25

    MY ONE AND ONLY LOVE<矢代俊一シリーズ24>

    栗本薫ボーイズラブ

    金井恭平が福岡で困窮していることを、新アルバム「雨月」の制作に没頭する矢代俊一は喫茶店で会った黒田から伝えられる。場所を変えて俊一のマンションで黒田の話を聞いていた俊一は突然ピアノを弾き歌い始めたが、それは黒田の凍り付いた心を癒やすきっかけとなった。そして風間と共に福岡に向かった俊一は、金井恭平との恋がもたらした懊悩についに終止符を打つのだった。そして森田透、勝又英二との関係も新たな局面にを迎える。矢代俊一シリーズ第24巻。

    【目次】
     

  • ANGEL EYES<矢代俊一シリーズ23>の書影1059円2023/12/25

    ANGEL EYES<矢代俊一シリーズ23>

    栗本薫ボーイズラブ

    アメリカツアーで明らかになった森晃市の力不足問題は、凱旋公演のリハでついに火を噴き勝又英二と森晃市が激突する事態となった。その場はおさまったものの、バンドのメンバーばかりか父親や森田透からまで厳しい意見を言われ俊一は悩む。そればかりか森晃市との関係が金井恭平に重なり俊一の気持ちはさらに追いつめられていくが……矢代俊一シリーズ第23巻。

  • SENTIMENTAL JOURNEY<矢代俊一シリーズ22>の書影1181円2023/10/20

    SENTIMENTAL JOURNEY<矢代俊一シリーズ22>

    栗本薫ボーイズラブ

    アメリカ・ツアーでニューヨークを訪れた矢代俊一はバンドメンバーと別行動でかつての恋人と会い、また金井恭平との逢瀬を時を持つ。しかし、ツアーの歓迎パーティ会場に現れたニューヨーク在住のピアニストとのトラブル、懸念されていた森晃一の力不足が露呈するなど不穏な要素をはらみつつデトロイト、ロサンゼルスとツアーは進んでいく。それはグループにも矢代俊一本人にも先送りにされていた問題の総決算を予感させるものでもあった。矢代俊一シリーズ第22巻。

  • AS TIME GOES BY <矢代俊一シリーズ21>の書影965円2023/08/30

    AS TIME GOES BY <矢代俊一シリーズ21>

    栗本薫ボーイズラブ

    勝又英二と暮らしながらも金井恭平への思慕を捨てきれずにいる矢代俊一だが、俊一の父は金井を快く思っていないばかりか、森田透からも金井との関係は無理があることを指摘されて俊一の苦悩は深まっていく。しかも俊一自身もまた、金井恭平への思いが次第に変わってきてることに気づかざるを得なくなっているのだった。アメリカツアーを目前にして俊一をめぐる錯綜した人間関係は否応なしに変化する兆しを見せていくが……。矢代俊一シリーズ第21巻。

  • DEVIL MAY CARE <矢代俊一シリーズ20>の書影1191円2023/06/20

    DEVIL MAY CARE <矢代俊一シリーズ20>

    栗本薫ボーイズラブ

    父親とのコンサートの翌日、俊一は情報屋野々村の電話で渥美公三に強姦された際のビデオの上映会が行われていたことを知る。渥美の息子銀河にその件を押さえることを提案され、野々村の事務所に渥美のマネージャー山口、アシスタントの沢村、渥美銀河を呼び200万円でビデオを買い取ることに。その帰路、俊一は銀河のマンションに連れ込まれかけ、その場に黒田が来たことでなんとか逃れたたものの、絶えず黒田に盗聴されていることに気づき、俊一は金井に会って相談するが、なし崩しに納得させられる。矢代俊一シリーズ20巻。

  • ボレロ <矢代俊一シリーズ19>の書影430円2023/04/20

    ボレロ <矢代俊一シリーズ19>

    栗本薫ボーイズラブ

    みずからもジャズ・ピアニストとして活動していた栗本薫が、音楽への強い思いを込め圧倒的な描写力を駆使して描き出す万里小路俊隆・矢代俊一父子デュオリサイタル。大成功のうちに終わったリサイタルの後のパーティでは矢代俊一グループによる演奏も行われ、評論家の絶賛を浴びつつ終了した。しかし、その翌日、情報屋の野々村からの電話があった。勝又英二も金井恭平も事務所の社長北原も同席しないという条件で話があるというのだ。しかも、会って話すというばかりで内容については一切口にしようとはしないが……矢代俊一シリーズ第19巻。

  • MORE THAN YOU KNOW <矢代俊一シリーズ18>の書影876円2023/02/20

    MORE THAN YOU KNOW <矢代俊一シリーズ18>

    栗本薫ボーイズラブ

    クラシック音楽界の重鎮である父との父子リサイタルを控えて俊一の焦慮は募るばかりだった。さらに金井恭平との密会や渥美兄弟との会食でさらに彼の運命は行き詰まっていくのだったが……2日間はピアノに触れてはならないと父に厳命された俊一は英二と横浜へ小旅行に行く。そして英二の生まれ育った貧民街を訪れたり、アマチュアのセッションに参加するのだったが、そこで彼は行き場のない運命への光明を見いだすのだった。矢代俊一シリーズ第18巻。

  • IT AIN'T NECESSARILY SO <矢代俊一シリーズ17>の書影1246円2022/11/30

    IT AIN'T NECESSARILY SO <矢代俊一シリーズ17>

    栗本薫

    勝又英二の目を盗んで金井恭平と会うための飯島由梨との大阪ライブだったが、大阪駅に到着した俊一を待つ人々のなかに金井の姿はなかった。しかし、かつて第1次矢代俊一グループのドラムだった森村類と再開、ホテルの部屋で久しぶりに話をする、しかし、一人になると金井恭平への思慕は募るばかりだった。そして二日目のライブの後だった。またもホテルまで送ってきた森村類は、俊一の部屋の前で突然俊一にキスをしたかと思うとすぐに謝り逃げるように去り、呆然とその後ろ姿を見送る俊一に何者かが襲いかかった。矢代俊一シリーズ第17巻。

  • SKYLARK <矢代俊一シリーズ16>の書影651円2022/09/20

    SKYLARK <矢代俊一シリーズ16>

    栗本薫

    渥美公三の死によって平穏な日々が訪れたかにみえた俊一だったが、公三の2人の子との出会いは新たな脅威を予感させるものだった。歌手として楽器を持たないまま臨んだグリーンドルフィンでのライブは大成功を迎えるが、会場の外に出た俊一は渥美銀河に絡まれてしまう。そこに現れた金井恭平によってその場は事なきを得たものの、自宅に戻った俊一は銀河の電話で錯乱するまでになってしまう。さらにマスコミのスキャンダルが出され俊一と英二は父の万里小路俊隆の家に避難することになったが……。矢代俊一シリーズ第16巻。

  • WILLOW WEEP FOR ME <矢代俊一シリーズ15>の書影651円2022/07/30

    WILLOW WEEP FOR ME <矢代俊一シリーズ15>

    栗本薫ボーイズラブ

    矢代俊一に妄執を募らせる渥美公三の死によって、俊一にもようやく平穏な日々が訪れた。高瀬とのライブに来た森田透のリクエストに応じて歌った曲が聴く者を驚愕させるほどの歌唱となり、金井恭平との激しい情事によってレッスンを休まざるを得なくなった俊一を見舞に来た父と俊一、そして英二も加わった自宅での演奏は、性的な絶頂を感じさせるほどの衝撃的な演奏となるなど、俊一の音楽はさらに飛躍を遂げようとしていたが……渥美公三の通夜、告別式への出席は新たな脅威を予感させるものだった。矢代俊一シリーズ第15巻。

  • SOUL EYES <矢代俊一シリーズ14>の書影564円2022/05/25

    SOUL EYES <矢代俊一シリーズ14>

    栗本薫

    渥美公三からの残虐な暴行を受けたものの渥美は脳溢血で倒れ、トラブル続きの矢代俊一にもようやく穏やかな日常が訪れた。そんなある日、神の苑頌霊教団の事件で世話になった風間俊介からの電話を受けた俊一は、風間と会うことを口実に勝又英二に隠れて金井恭平との密会をたくらむ。だが、待ちかねていた恋人との甘やかなはずの時に、封印されていた精神の内奥の恐るべき闇が暴き出されてしまうのだった。
    矢代俊一シリーズ第14巻。

  • SUMMERTIME <矢代俊一シリーズ13>の書影523円2022/03/18

    SUMMERTIME <矢代俊一シリーズ13>

    栗本薫

    手酷い怪我を負いながらも、俊一は金井恭平、黒田吾朗によって渥美公三の非道な暴行からかろうじて救出された。脅迫に使われていた写真やビデオも2人によって処分され、脅威は去ったかに見えたが……ようやく自宅でくつろぐ俊一に、なんと渥美公三から謝罪をしたいと電話が入るのだった。俊一が赴いたレストランの個室で、げっそりとやつれ果てた渥美は彼に神妙に詫びの言葉を繰り返すのだったが、次第に彼のなかで狂気が頭をもたげ豹変していく。それはまた、矢代俊一の転機となる一連の出来事の発端ともなるのだった。矢代俊一シリーズ第13巻。 

  • LOVE FOR SALE <矢代俊一シリーズ12>の書影927円2022/01/20

    LOVE FOR SALE <矢代俊一シリーズ12>

    栗本薫

    全国ツアーも終わり穏やかな日々が矢代俊一に戻ろうとしていた。だが、彼に妄執を募らせる渥美公三からの電話の、あまりの理不尽にたまりかねた俊一が仕事を降りたいと言ったことがきっかけとなり、自身をすら破滅させかねない狂気へと渥美公三は突き進む。そして、多数の企業を巻き込んだプロジェクトに関わる契約のために仕事を継続せざるをえない俊一を自分のアトリエに呼び出し、暴虐の限りを尽くす渥美公三。しかしそれが頂点に達したとき、ついにこの妄執も終局の時を迎え、さらに神の苑頌霊教団の脅威も野々村の暗躍により解決に至るのだった。

  • LOVE FOR SALE <矢代俊一シリーズ12>の書影927円20220120

    LOVE FOR SALE <矢代俊一シリーズ12>

    栗本薫ボーイズラブ

    全国ツアーも終わり穏やかな日々が矢代俊一に戻ろうとしていた。だが、彼に妄執を募らせる渥美公三からの電話の、あまりの理不尽にたまりかねた俊一が仕事を降りたいと言ったことがきっかけとなり、自身をすら破滅させかねない狂気へと渥美公三は突き進む。そして、多数の企業を巻き込んだプロジェクトに関わる契約のために仕事を継続せざるをえない俊一を自分のアトリエに呼び出し、暴虐の限りを尽くす渥美公三。しかしそれが頂点に達したとき、ついにこの妄執も終局の時を迎え、さらに神の苑頌霊教団の脅威も野々村の暗躍により解決に至るのだった。

  • 亡き王女のためのパヴァーヌ <矢代俊一シリーズ11>の書影315円2021/11/15

    亡き王女のためのパヴァーヌ <矢代俊一シリーズ11>

    栗本薫

    自分とはまったく感性の異なる実業家の家に生まれ育った矢代俊一は、家出同様にしてジャズの世界に入り、やがてモントルーのジャズフェスでの大成功をおさめてキャリアを重ねていった。しかし母親がいまわの際に言った言葉から、じつは彼が不義の子であったことを知る。しかも、その人物は国際的な名ピアニスト万里小路俊隆だった。邪教の脅威にさらされ、また彼を横恋慕する渥美公三の乱暴によって重傷を負うこととなった波乱の全国ツアーを終えた矢代俊一は、ついに実の父の家を訪ねて安らぎのひとときを過ごすのだった。矢代俊一シリーズ11巻。

  • CARAVAN <矢代俊一シリーズ10>の書影564円2021/09/01

    CARAVAN <矢代俊一シリーズ10>

    栗本薫

    神の苑頌霊教団の魔手に脅かされるなか、矢代俊一のレコ発ツアーは再開された。俊一のマンションが教団の信徒達に見張られていたために、バンド・メンバーやスタッフと共に事務所に泊まりこんでのツアー出発だった。そして、野々村マスコミ研究所で働く風間俊介やファンクラブの面々に守られながら新幹線で神戸へ向かうが、その車内にも信徒達はまぎれ込んでいた。さまざまな不安を抱えつつも神戸のコンサートは成功裏に終了、しかし、終演後の楽屋に現れたのは、なんと彼に邪恋を抱き陋劣な無法を働いてきた渥美公三だった。矢代俊一シリーズ第10巻。

  • GENTLE RAIN <矢代俊一シリーズ9>の書影1098円2021/07/15

    GENTLE RAIN <矢代俊一シリーズ9>

    栗本薫

    新興宗教団体頌霊教団とのトラブルから突如失踪した金井恭平。そして、最愛の人を失い失意のうちにあった矢代俊一だが、その俊一にも教団の魔手は迫る。俊一に横恋慕するカメラマン渥美の常軌を逸した求愛に心身共に痛めつけられ隙を見せた俊一はあやうく拉致されかけ、陰ながら見守っていた黒田の出現で事なきを得たものの、さらに長野ツアー中に襲われて勝又英二は重症を負い全国ツアー中の矢代俊一バンドはドラムに急遽代役を立てる事態にすらなってしまうのだった! 矢代俊一シリーズ第9巻。

  • WHAT ARE YOU DOING THE REST OF YOUR LIFE <矢代俊一シリーズ8>の書影500円2021/01/29

    WHAT ARE YOU DOING THE REST OF YOUR LIFE <矢代俊一シリーズ8>

    栗本薫

    妻子を故郷の長野に移住させた金井恭平は、東京に戻ることがなくライブに穴をあけることもしばしばだった。その穴を埋めるために出演した矢代俊一は、金井が新興宗教とのトラブルに巻き込まれたことを知る。そしてライブ終了後、俊一に会うためにひそかに店の近くに待ち受けていた金井と逢瀬の時を過ごすが、そこで知ったのは金井が抜き差しならぬ窮地に追い込まれていることだった。その毒牙はさらに俊一にも迫りくる。やはり金井のトラとして出演したライブの客席に、異様な黒服の一団が姿を現すのだった……矢代俊一シリーズ第8巻。

  • THE MAN I LOVE <矢代俊一シリーズ7>の書影561円2020/06/19

    THE MAN I LOVE <矢代俊一シリーズ7>

    栗本薫

    北海道のジャズフェスへの会場に赴いた矢代俊一を待っていたのは、なんと恋慕してやまぬ金井恭平の姿だった。勝又英二がいながら金井恭平への恋慕に身を焼かれる俊一は、恭平との二人だけの夜に身を焦がしていく。別れがたさに、帰路の空港への道すがら心中さえも口にする彼だったが、ようよう東京へ戻った彼を迎えたのは思いがけぬ出来事だった。事故で入院中の母を見舞った彼は、出生の秘密を告げる母の告白を聞くことになったのだ。しかも、その母は医療事故のためにほどなくこの世をさってしまうが……矢代俊一シリーズ第7巻。

  • ROUND MIDNIGHT 〈矢代俊一シリーズ6〉の書影643円2020/04/20

    ROUND MIDNIGHT 〈矢代俊一シリーズ6〉

    栗本薫

    掛け替えのないドラマーであり、また一時は一生を共にしようとまで言い合った勝又英二の存在がありながら、金井俊平への恋情を矢代俊一はとどめることが出来なかった。それは英二を絶えず狂気に駆り立て、俊一を、そして英二自身をも苦しめ、それから逃れようとする英二は暴力事件さえ起こしてしまう。出口の見えぬ人間関係のなかで破局に向かって堕ちていくかにみえる矢代俊一。しかし、音楽のミューズはその状況すらも変えて、さらなる飛躍の予兆を感じさせるパフォーマンスを彼にさせるのだった。矢代俊一シリーズ第6巻。

    【目次】









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    エピローグ

  • BLUE SKIES <矢代俊一シリーズ5>の書影451円2020/02/20

    BLUE SKIES <矢代俊一シリーズ5>

    栗本薫

    H・I・Vに罹患し死を目前にする早瀬充のために、残虐な陵辱をされた相手にもかかわらず彼に捧げるアルバムを作った矢代俊一。その俊一に感動した勝又英二はひとたびは人が変わったように穏やかになったが……金井恭平への恋情もまたいや増していく俊一は、金井恭平、勝又英二の二人への想いに引き裂かれていく。そして俊一の気持ちが自分から離れて行くと思い込んだ英二は、俊一を失うことへの恐れのために俊一を殺して自分も死のうとすら思い詰めてしまうのだった。矢代俊一シリーズ第5巻。

    【目次】









    エピローグ
    コーダ

  • NEVER LET ME GO <矢代俊一シリーズ4>の書影643円2019/12/20

    NEVER LET ME GO <矢代俊一シリーズ4>

    栗本薫

    矢代俊一は自分を無法に陵辱した早瀬充がH・I・Vに冒され余命幾ばくもないことを知る。そして恨んでもあまりはるはずの早瀬の生涯にある種の共感を覚えるが、彼自身もまた、H・I・Vに罹患しているかもしれず検査結果を待つことになる。しかも、勝又英二との同棲生活のうちに初めて他人への愛情に目覚めるようになっていた俊一だったが、20年来の親友だったはずの金井恭平も密かに彼を愛していることを知ってしまう。そして英二への愛情、金井への思慕の板ばさみに苦しむ俊一はのっぴきならぬ窮地に陥ってしまうが……シリーズ第4巻。

  • CRAZY FOR YOU <矢代俊一シリーズ3>の書影582円2019/09/20

    CRAZY FOR YOU <矢代俊一シリーズ3>

    栗本薫

    ドラム勝又英二、ピアノ森晃市、そして国際的な活躍をするベテランベーシスト、サミー井上の参加によって、矢代俊一グループはようやく大きな飛躍の端緒についていた。また、矢代俊一自身も勝又英二との生活によって人間的に大きく変わろうとしていたが……その彼の許に届けられたのは、妄執によって矢代俊一を残虐に仲間に陵辱させた早瀬充からの、おぞましいビデオや写真と残虐な殺害を予告する脅迫状だった。矢代俊一シリーズ第3巻。

  • SOFTLY,AS IN A MORNING SUNRISE——朝日のように爽やかに <矢代俊一シリーズ2>の書影470円2019/07/22

    SOFTLY,AS IN A MORNING SUNRISE——朝日のように爽やかに <矢代俊一シリーズ2>

    栗本薫

    ふとしたきっかけで参加したセッションで、矢代俊一は勝又英二、森晃市の二人と知りあった。その出会いは結城滉の突然の死、サミー井上の渡英によって停滞を余儀なくされていたバンド活動に新たな展開をもたらす。しかし、新メンバーを率いてのミュージカルの仕事の現場で出会った一人の俳優が、ようやく本格的に活動を再開しようとする彼に結城滉の死の真相を突きつけるばかりか、残虐きわまる事件をもたらすのだった。矢代俊一シリーズ第2弾。

  • YOU DON'T KNOW WHAT LOVE IS——恋の味をご存じないのね <矢代俊一シリーズ1>の書影626円2019/05/20

    YOU DON'T KNOW WHAT LOVE IS——恋の味をご存じないのね <矢代俊一シリーズ1>

    栗本薫ボーイズラブ

    世界のヤシロとその名を讃えられる天才サックス奏者、矢代俊一。音楽に身を捧げ、妻との死別もマフィアとの軋轢も乗り越えてきた彼が、不惑の歳を過ぎて初めて知る、狂おしい恋の味。男性同性愛という形による、どうにもならない激しい衝動と音楽にかける想いの物語。 栗本薫が亡くなる1ヶ月前まで書き続けられた2万枚もの遺稿は、天狼プロダクションによって自費出版された後に絶版となったが、没後十年を経た今、電子版として、正伝25巻、外伝18巻(未完作品を含む)に及ぶシリーズが復活する。

  • YOU DON'T KNOW WHAT LOVE IS——恋の味をご存じないのね <矢代俊一シリーズ1>の書影627円2019/05/20

    YOU DON'T KNOW WHAT LOVE IS——恋の味をご存じないのね <矢代俊一シリーズ1>

    栗本薫

    世界のヤシロとその名を讃えられる天才サックス奏者、矢代俊一。音楽に身を捧げ、妻との死別もマフィアとの軋轢も乗り越えてきた彼が、不惑の歳を過ぎて初めて知る、狂おしい恋の味。男性同性愛という形による、どうにもならない激しい衝動と音楽にかける想いの物語。
    栗本薫が亡くなる1ヶ月前まで書き続けられた2万枚もの遺稿は、天狼プロダクションによって自費出版された後に絶版となったが、没後十年を経た今、電子版として、正伝25巻、外伝18巻(未完作品を含む)に及ぶシリーズが復活する。

  • キモノにハマってね!の書影440円2018/08/20

    キモノにハマってね!

    中島梓エッセイ

    中島梓はパーティや観劇などに外出する時ばかりでなく、日常生活も着物で過ごすことが多かったほどの着物愛好家だった。自身で運営するホームページ、神楽坂倶楽部でも着物に関するエッセイをいくつか連載していたが、本書は2005年から翌年にかけて連載された「着道楽」が収録されている。またエッセイのほか、生後まもない頃から亡くなる前月のライブまで、他で見ることの出来ない貴重な着物姿の写真90点以上を集めたアルバムも収録している。

  • 花陽炎の書影484円2018/06/20

    花陽炎

    栗本薫詩/短歌/俳句

    1984年に自費出版された栗本薫の短歌集。出産、育児によって活動を抑えていた1983年から84年にかけて、奔流のように湧き出した短歌が収録され、耽美、浪漫、頽廃などがキーワードとなる栗本薫の創作のモチーフが直截に表現されている。栗本薫の耽美小説群のファンのみならず、創作の源泉を垣間見させる栗本薫を知る上での好個の書。

  • 珠玉天王寺屋——五世中村富十郎の書影770円2018/04/20

    珠玉天王寺屋——五世中村富十郎

    山田凉子その他文芸

    伝説的歌舞伎役者、十五代目羽左衛門の舞台を13歳で見てより歌舞伎の魅力に取り憑かれた山田凉子は、六代目菊五郎、初代吉右衛門、七代目幸四郎などの名優の舞台に接して歌舞伎への鑑賞眼を磨いてきた。そして1961年に当時鶴之助を名乗っていた中村富十郎に魅せられた彼女が、半世紀に渡る観劇記、交流をまとめたものが本書である。あくまでもファンの視点から書かれてはいるが、自身も長唄の名取りであり幾度か富十郎の踊りと共演も果たしている著者の富十郎評は的確。本格的な評伝のない現在、歌舞伎研究書としても貴重である。

  • 手間のかかる姫君——夫、今岡清が選ぶ栗本薫短篇集の書影560円2018/02/20

    手間のかかる姫君——夫、今岡清が選ぶ栗本薫短篇集

    栗本薫今岡清文学

    栗本薫の担当編集者であり、また夫として30年以上に渡り生活を共にした今岡清が、個人的な思い出深い作品を集めた作品集。江戸川乱歩賞受賞で華々しく文壇デビューしたのち、初めてSF-マガジンに登場した「ケンタウロスの子守唄」、ふざけ散らしたユーモアSFでありながら文明批評でもある「エンゼル・ゴーホーム」、日常の会話から書き始められたものの中断していた原稿の発見された「手間のかかる姫君」、マンガ家に憧れていた栗本薫の唯一のマンガ作品「日々是好日」ほか六篇を収録。 【目次】 序 ケンタウロスの子守唄 エンゼル・ゴーホーム パソコン日記 手間のかかる姫君 滅びの風 日々是好日 解説

  • コミュニケーション不全症候群の書影505円2017/12/25

    コミュニケーション不全症候群

    中島梓エッセイ

    栗本薫の筆名でグイン・サーガ、伊集院大介シリーズほか数多くのベストセラーを生んだ中島梓が、1991年に発表した書き下ろし評論。おタク、ダイエット、女性による男性同性愛への関心などを扱い、変容する社会において危機的な状況におかれた自我のあり方を、自身も拒食症・過食症に陥り、また「真夜中の天使」を嚆矢としてやおいと呼ばれるジャンルを拓いた体験を踏まえつつ描いた問題作。刊行当時若者の共感と批評家からの絶賛を浴びたものの長らく絶版となっていたが、いま電子版として復刊される。解説・藤本由香里。 【目次】 はじめに──私はなぜこの本を書こうと思ったのか 第1章 コミュニケーション不全症候群 第2章 オタクについて・1 第3章 オタクについて・2 第4章 ダイエット症候群・1 第5章 ダイエット症候群・2 第6章 病気の時代 第7章 僕の夢は少年を…… 第8章 美少年なんか怖くない 第9章 最後の人間 第10章 コミュニケーション不全症候群のための処方箋 あとがき 解説 藤本由香里

  • 小説道場ご隠居編の書影495円2017/10/20

    小説道場ご隠居編

    中島梓文学

    小説JUNE誌に連載され、小説作法ばかりでなくJUNE・やおいのリーダー的存在であった小説道場。その後、ジャンルとしてのJUNEはある種の大衆化を遂げて変容し、ボーイズラブ=BLとなっていった。 小説道場連載終了から7年の後、編集部から請われて再開した「小説道場ご隠居編」において、中島梓は当時のBL業界の状況を批判しつつ小説の本質について筆鋒鋭く語っている。 本書は埋もれていた連載をついに電子版として刊行、JUNE・やおいの歴史を語る上で、また栗本薫の創作論を知る上での貴重な書である。

  • 伊集院大介最後の推理の書影495円2017/08/20

    伊集院大介最後の推理

    栗本薫ミステリー

    伊集院大介シリーズお馴染みのキャラクター、山科警視、森カオル、伊庭緑郎、滝沢稔ことアトムくんほか、『ほくらの時代』の栗本薫も登場する作品集。「月光座 金田一耕助へのオマージュ」では伊集院大介と金田一耕助が共演、「幽霊座」での耕助の推理をリスペクトを湛えつつ伊集院大介が新たに解き直すという趣向も。栗本薫逝去の前年に書かれた「誰でもない男――伊集院大介の秋思」など5編を収録し、伊集院大介の文字通り最後の推理を収める。

  • 十二ヶ月 栗本薫バラエティ劇場の書影715円2017/06/20

    十二ヶ月 栗本薫バラエティ劇場

    栗本薫文学

    未曾有の超大作グイン・サーガで知られる栗本薫が、12ヶ月にわたって小説新潮誌に連載した、12のジャンルを書き分けた作品集。 疑惑が疑惑を呼び狂気へとひとりの男を駆り立てる心理ミステリー「犬の眼」。手練れの時代小説作家もかくやと思わせる佳品「おせん」。軽妙な文体をあやつりつつ、圧倒的な筆力でラストの哀切へと雪崩れこむ青春小説「公園通り探偵団」。そして巻末を飾るグイン・サーガ外伝など、若き栗本薫の才気が爆発する。 【目次】 まえがき 一月/犬の眼〈心理ミステリー〉 二月/おせん〈時代小説〉 三月/保証人〈社会ミステリー〉 四月/紅〈芸道小説〉 五月/夜が明けたら〈青春小説〉 六月/忘れないで〈SF小説〉 七月/公園通り探偵団〈風俗小説〉 八月/離魂病の女〈捕物帳〉 九月/嘘は罪〈都会派恋愛小説〉 十月/ガンクラブ・チェックを着た男〈本格推理〉 十一月/五来さんのこと〈私小説〉 十二月/時の封土〈ヒロイック・ファンタジイ〉 十三月/あとがき

  • 本音のコラムの書影594円2017/04/20

    本音のコラム

    中島梓エッセイ

    栗本薫の筆名で知られる中島梓が、2005年10月7日から翌年9月29日に渡って東京新聞に連載した53篇のコラムを収録。 警官に注意されて逆上し尻を露出して逮捕された事件を取り上げた「尻出しおじさん」、10年前に「死ね」という言葉を安易に使う風潮を憂えた「『死ね!』という罵言」、被害者の個人情報まで興味本位に晒してしまうニュース報道に疑問を呈した「被害者の人権」、衣替えの時期の理不尽さについて語る「太陰暦の衣替え」など、当時の世相や日常の些末事までを硬軟取りまぜてユニークな視点から評した書。

  • 弥勒の書影418円2017/02/20

    弥勒

    中島梓文学

    栗本薫は『ぼくらの時代』で華々しく文壇デビューした後、グイン・サーガ・シリーズを発表した1979年に文芸誌「群像」に唯一の私小説「弥勒」を発表した。 この作品は死産で産まれ、3歳のときに日本脳炎のために意識もないままに寝たきりとなった弟との葛藤を描いて、栗本薫・中島梓の一生を苦しめ続けた激烈な怒り・悲哀が赤裸々に語られた作品である。『弥勒』の続編として手を付けられたまま、完成することのなかった断片「56億年の弥勒」を併載。解説は元群像編集長、内藤裕之氏。

  • グイン・サーガ 炎の群像の書影615円2017/01/20

    グイン・サーガ 炎の群像

    中島梓演劇

    グイン・サーガ50巻記念公演として1995年に上演された「グイン・サーガ 炎の群像」の台本。原作者栗本薫と脚本家中島梓が同一人物であることによる大胆な脚色で、小説版の第1巻から16巻までに及ぶ物語を舞台化した作品。古代王国パロが新興のモンゴールの突然の侵略で制圧されながらも、やがてモンゴールを打ち破り再興するまでを語る。小説版の主人公グインが一切登場しないほか、さまざまな場所で展開する物語がパロの都クリスタルに限定されるなど、グイン・サーガ異聞とさえ言える内容となっている。

  • 新版・小説道場4の書影770円2016/12/20

    新版・小説道場4

    中島梓文学

    数多くのベストセラーで知られる栗本薫が、中島梓の別名で雑誌JUNE誌上に連載した小説講座第4巻。やおい・BLとして知られる男性同性愛小説向けの内容ではあるが、天才作家が創作の機微から具体的技術までを余すところなく伝える、創作を目指す者にとり必読の書第4巻。本書には小説道場開始から10年の時が流れた後に、変質していくやおいへの思いと自己の信念を吐露したマニフェスト「新・やおいゲリラ宣言」を収録。また、小説道場の掲載誌「JUNE」の編集長であった佐川俊彦氏の解説を付す。

  • 新版・小説道場3の書影770円2016/11/18

    新版・小説道場3

    中島梓文学

    数多くのベストセラーで知られる栗本薫が、中島梓の別名で雑誌JUNE誌上に連載した小説講座第3巻。やおい・BLとして知られる男性同性愛小説向けの内容ではあるが、天才作家が創作の機微から具体的技術までを余すところなく伝えた、創作を目指す者にとり必読の書。この巻では投稿者の成長と、また人気作家として活躍する道場出身者の活躍ぶりも描かれその点でも興趣尽きない内容となっている。

  • 新版・小説道場2の書影770円2016/10/20

    新版・小説道場2

    中島梓文学

    数多くのベストセラーで知られる栗本薫が、中島梓の別名で雑誌JUNE誌上に連載した小説講座第2巻。やおい・BLとして知られる男性同性愛小説向けの内容ではあるが、天才作家が創作の機微から具体的技術までを余すところなく伝えた、創作を目指す者にとり必読の書。

  • 新版・小説道場1の書影770円2016/09/20

    新版・小説道場1

    中島梓文学

    数多くのベストセラーで知られる栗本薫が、中島梓の別名で雑誌JUNE誌上に連載した小説入門講座。やおい・BLとして知られる男性同性愛小説向けの内容ではあるが、夭折した天才作家が、創作の機微から具体的な技術までを余すところなく伝えた、創作を目指す者にとっての必読の書。

  • 思い出の街の書影385円2016/08/10

    思い出の街

    中島梓エッセイ

    中島梓は神楽坂倶楽部というホームページを運営し、毎朝更新するのを日課にしていました。本書はその神楽坂倶楽部の2004年3月1日から31日まで連載されていたエッセイをまとめたものです。 新婚時代を過ごした赤坂、大学時代を過ごした早稲田、中学・高校時代を過ごした大塚などが、中島梓の個人的な思い出と共に当時の時代を感じさせるエピソードをまじえて生き生きとした筆致でつづられています。

  • 京堂司掌編全集の書影275円2016/07/15

    京堂司掌編全集

    栗本薫SF

    2016年に創刊40周年記念終刊号が発行された幻影城誌。その発行に際して、京堂司名義の作品が栗本薫の手によるものであることが発見されて話題を呼んだが、本書は京堂司名義作品のすべてを収録、この名義による作品は他に一切ないことからあえて書名を「京堂司掌編全集」とした。 熱烈なSFファンであった若き栗本薫による、日本SF揺籃期を彷彿とさせる掌編12編は、大河小説グイン・サーガの作者の、また違った一面をうかがわせる。解説は京堂司発見者の野地嘉文氏。 【目次】 23世紀のラッシュアワー ACT/1 星間急行 ACT/2 ポーの末裔 ACT/3 物質電送ラッシュ ACT/4 満員電車の中で 23世紀のポップス ACT/1 P・R ACT/2 イメージ・チェンジ ACT/3 未来の寝床 ACT/4 怨念 革命専科 ACT/1 マイコンピューター革命 ACT/2 産学協同革命 ACT/3 サイボーグ革命 ACT/4 ……革命? 解説 野地嘉文

発行:株式会社天狼プロダクション 発売:ボイジャー・プレス

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