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声の地層 災禍と痛みを語ること
エッセイ多くを失い身一つになっても、集えば人は語りだす。伝える人と、耳をすます人の間に生まれた、語り継ぎの「記録文学」。「すこしの勇気を持って、この人に語ってみよう、と思う。その瞬間、ちいさく、激しい摩擦が起きる。マッチが擦れるみたいにして火花が散る。そこで灯った火が、語られた言葉の傍らにあるはずの、語られないこと、語り得ないことたちを照らしてくれる気がして。それらを無理やり明るみに出そうとは思わない。ただその存在を忘れずにいたい」(はじめに)【目次】はじめに――語らいの場へようこそ第1章 おばあさんと
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新着作品
国語教育を救え
国語学教育学界最長老の一人にして衰えることなく吠え続ける著者が、今作では国語教育に絞り、その現状を斬る。読書百遍義自ら見る――「読み書きの能力は、読み書きをすることによって育つ。」として、①とにかく読む。それも、古典を読み、模範とする。②体を使って(手書きで)書く。それなくして読み書きの能力が伸びることはないと言い切る。さらに、発問は教師の論理で作られていて、学習者の読み手としての独立した世界の可能性は無視されていると指摘。発問による授業を誤った有害な方法と断じる。(年齢等は刊行当時。)【目次】第1章
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国籍と遺書、兄への手紙 ルーツを巡る旅の先に
社会問題父は在日コリアン2世だった。父の死後に知ったその事実に著者のアイデンティティは揺れ動く。朝鮮半島からやってきた祖父母もその子どもである父も歳の離れた兄も、既に他界した。ほとんど手がかりがない中で資料を取り寄せ、わずかな痕跡を辿って彼らがかつて暮らした地を歩き、交流のあった人の話に耳を傾ける。その旅で次第に見えてきた家族の在りし日の姿を胸に抱きながら、目前の現実を取材する日々。現在と過去を往還する中で、時に気分が沈みそうになっても、多くの人との出会いにより、著者は自らの向かうべき道を見出していく。
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注目作品
こげなお人ではなか! 発見された西郷隆盛の写真
歴史/時代小説明治7年。陸軍省で撮られたという、一枚の集合写真。写っていたのは山縣有朋、勝海舟といった元勲たち。その中に、なんと西郷隆盛がいると言う。しかし、一般に伝わるその人とは、似ても似つかない姿で写っていた。本当に西郷隆盛なのか? 地道な調査・検証から真実を導き出す歴史ミステリー。 【目次】 1 ミスト 2 カール・カッペン 3 ジュリアスのポートレート 4 廃藩置県 5 顔認証 6 西郷隆盛の実像 7 天才児津田出 8 審判 あとがき 参考資料
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ここに素敵なものがある
詩/短歌/俳句リチャード・ブローティガン(『アメリカの鱒釣り』『西瓜糖の日々』)、新訳詩集。 詩のささやきが放つ色気にすっかりやられてしまった。不幸せな者、それでいてどうしようもなく優しい者だけが持つ、強烈な色気。ささやきでしか、本当のことは語れないのかもしれない。(向坂くじら・詩人) 『西瓜糖の日々』が文庫化されたのが2003年。大学1年生だった私はブローティガンに大いに影響を受け、物語るように歌詞を書くようになった。狂気を語る穏やかな声は、きっと今も遠くまで響くことだろう。(高城晶平・cero
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心と距離のバランス
エッセイ恋愛においては相手との距離感が大切になってきます。それは初対面ではなおさら必要なこと【目次】心と距離のバランス 恋愛の心理的距離とは?<私の初デートに行った話編> 恋愛は占いに頼るべきか? 恋愛相談って誰にすればいいの?異性にするべき? まとめ
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心は胸のふくらみの中
詩/短歌/俳句トロの吐露リスのリスクたわしのわたし掬ってほしい救ってほしい飯田有子(歌人)、和田彩花(アイドル)推薦!【目次】永遠に嚙めないフランスパン生理休おんなへんやわらかな手のうさぎ空飛ぶ虎Ms. たらこくちびるサンドイッチ・ハム男人生をミニストップ俺は星屑心の皮膚冬の放熱多くない給料あかるい前歯
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心をさがす旅 思い出のヨーロッパ
紀行ヨーロッパでの文化文芸紀行。併せて、外国で暮らす日本人を描く。【目次】氷の歯形・シベリヤ/賑やかな死・ロンドン/心をさがす旅・マドリード/磔のペテロ・ローマ/音楽の都・ウィーン/遺された壁・パリ
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50代・60代のためのライフワーク起業のススメー本当に「やりたいこと」を見つけてビジネスにしていく手法とは【電子版】
開業/転職/就職「人生100年時代」と言われている今日、長い人生の後半をどのように生きていくのか? 定年を迎える年代の人たちの大きな課題となっている。こんな状況の中、いま50代・60代の起業が増加、しかし、起業にはリスクがつきもの、「失敗したらどうしよう?」、こんな不安を抱えている人が多い。著者の13年間、延べ600名を超える起業相談から導き出された起業成功のポイント、それは、本当に「やりたいこと」を仕事にしていくこと。【目次】第1章 人生100年時代をどう生きる? 第2章 シニア起業の現状と落とし穴は?第3章
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ゴジラ幻論 日本産怪獣類の一般と個別の博物誌
生物学2016年、東京に上陸し、丸の内で活動を停止した巨大不明生物、通称「ゴジラ」。従来の生物学の知見では単純に説明することのできない生態、形態、発生プロセスの謎に、進化発生学者が挑む。 「シン・ゴジラ」に登場する女性科学者のレポートや、1954年初代「ゴジラ」の山根恭平博士の孫による講演記録など、科学的知識と虚構が入り交じる一書。【目次】第一章 「ゴジラ生物学会特別紀要」より:巨大不明生物の起源【基調講演】「シン・ゴジラ」に確認された新事象をめぐって 第一部 山根恭太郎 【基調講演】「シン・ゴジラ」