30歳からの漢詩エントリー それは「どう生きるか」を考えること
エッセイ 1936円販売終了
作品説明
絶望の中に生きた陸游、破壊された長安で酒浸りの日々を送った杜甫、「値千金」で有名な蘇東坡、中国人をうならせた漱石、共産主義活動に挫折した河上肇の漢詩を取り上げながら漢詩が包含する「知」と「情」の世界を解説。漢詩が学校教育で軽視されていることへの問題提起も。
漢文や漢詩を読むために必要な基礎知識は、はっきり言ってありません。あるとすれば、「自分がどう生きるのか」を考えることが、漢文や漢詩を理解し楽しむ道を作ってくれるでしょう。―本文より
【目次】
序 章 時空を超えて共振する
音によって感情を共有/文明を「編集」した孔子/「よこしまな思いのない詩」とは/知の『詩』、情の『楚辞』 他
第一章 陸游、絶望のなかのユートピア
泡沫のユートピア/千年前の溜め息/きっといつかは桃源郷に/むなしさを埋めるための九千首 他
第二章 漱石、東洋的理想郷への希求
江戸の終焉とともに/不連続の連続/死を意識して/「隠逸」という理想/「則天去私」へと続く道 他
第三章 杜甫、生きるためのラブレター
五言絶句の奇跡/四千年に一度の出会い/破壊された長安で/漢詩の原点 他
第四章 蘇東坡、「楽しむ」へのこだわり
左遷と豚肉/文人一家と保守・革新の攻防/「所有」を問う/文人の願い 他
第五章 河上肇、共産主義と挫折と
共産主義という理想/ユートピアはどこにある/社会を変革するか、社会から逃げるか 他
終 章 古代中国の「心」を探る
数学との共通点/書き捨てる文とは違って/音を並べる技「平仄」/意味を深める技「対句」 他