ヒロシマ・ナガサキのまえにーオッペンハイマーと原子爆弾ー
ノンフィクション 880円販売終了
作品説明
原爆開発、投下、冷戦へとたどる歴史の歩みを明らかにする。文学を愛し、優雅な物腰で人々を魅了した若きアメリカの物理学者オッペンハイマー。戦争という時代を背景に「原爆の父」となり、その後、水爆開発に反対していった彼は赤狩りの犠牲者となり葬り去られていった。時代に翻弄される人間の姿、横たわる戦争の深い影響。巨大な科学の成果として投下された爆弾によって失われた多くの生命。
ジョン・エルスが監督し、米国PBSで放送されたドキュメンタリー映画『The Day After Trinity: J. Robert Oppenheimer and the Atomic Bomb』をもとに、1995年米ボイジャーが制作したCD-ROM作品の中から映像部分を除き、歴史資料としての文書、写真、原爆開発に関わった科学者たちのインタビュー全文をここに再編した。解説・翻訳は青空文庫 呼びかけ人であった富田倫生と富田晶子が担当している。戦後70年を経た今日にこそ直視すべき現実がここにある。
【ロバート・オッペンハイマーについて】
ユダヤ系アメリカ人物理学者。第二次世界大戦当時ロスアラモス国立研究所の所長としてマンハッタン計画を主導。原子爆弾開発プロジェクトの指導者的役割を果たし、「原爆の父」として知られる。世界に使うことのできない兵器を見せて戦争を無意味にしようと考えていた。
【マンハッタン計画とは】
第二次世界大戦中、枢軸国の原爆開発に焦ったアメリカが原子爆弾開発・製造のために、亡命ユダヤ人を中心として科学者、技術者を総動員した国家計画。計画は成功し原子爆弾は製造され、1945年7月16日人類初の核実験が実施された。そして、広島に8月6日、長崎に8月9日の投下へとつながっていった。
□内容□
●マンハッタン計画に関係したノーベル賞科学者ら、計16人のインタビュー全文
●オッペンハイマーとマンハッタン計画に関するFBIおよび軍関係の機密文書
●多数の資料写真
●関係者人名録
★訳者 富田倫生(青空文庫 呼びかけ人)からのメッセージ★
先進性を追求したフォーマットを、技術革新の激しいコンピューターの世界で維持しつづけることは困難だ。 この作品も、私のMacintoshでは、もうひらけなくなってしまった。マルチメディアが、永遠の悪手であるとはおもわない。ただし、ボイジャーが先陣をきった電子出版20年の歴史のなかで、ネットワークにつらなる幅広い環境で、永続的にひらきつづけられるテキストを提供することの重みを、我々はくりかえし味わってきた。いま、標準ファイルフォーマットHTML5を利用した同社のBinBで、この作品がよみがえることを、よろこびたい。
原爆をつくった側がいれば、太平洋をはさんだこちらには、落とされた者がいる。この作品の日本語化を手伝った直後、 私は青空文庫というテキスト・アーカイブにかかわった。そこでは、広島で被爆した原民喜と峠三吉、長崎で惨禍にみまわれた放射線医学者、永井隆の作品をひらくことができる。
はじめての原爆実験がおこわれた場所は、トリニティ(三位一体)と名づけられた。本作のテキストによる復刊によって、ネットワークには、ヒロシマ、ナガサキにくわえて、トリニティをめぐる証言がそろうことになった。
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