核問題の「当事者性」 時間と場所を超えた問いかけ
社会問題 2500円販売終了
作品説明
ノーベル平和賞を受賞した日本被団協が結成される発端となった、1954年のマーシャル諸島の核実験で漁船員が被ばくした「ビキニ事件」。それ以外にも、太平洋で広範に行われた核実験があった。世界的に顧みられることのなかったこれら核実験や原発事故も含めた核の問題はなぜ「忘れられ」「不可視化」されていくのか。被害者/加害者だけではなく、放射線の影響を受けたすべての人びとの「当事者性」という視点から見つめ直し、核廃絶の可能性を探る。様々な分野の研究者に加えて、医師、学芸員、主婦といった市民の立場で活躍している人で作り上げた、核問題研究に新たな視座を拓く論考集。
【目次】
はじめに 核問題の「当事者性」 中原 聖乃・三田 貴・黒崎 岳大
ひとこと解説
第I部 いまも困難な状況にある核被災者
第1章 ビキニ事件から「忘れられた」被災者たち 聞間 元
第2章 核実験に伴う強制移住者たちの生活・社会・文化の変容ーマーシャル諸島・ビキニ環礁およびエヌエタック環礁の事例から 黒崎 岳大
第3章 太平洋核実験をめぐる当事者性ーキリバス共和国クリスマス島の英米核実験を中心に 小杉 世
第II部 核被災を「不可視化」する力
第4章 原発事故による放射能汚染の「無被害化」ー当事者性排除への疑問 三田 貴・島 明美
第5章 何についての当事者かーフランス領ポリネシア核実験の元前進基地ハオにみる当事者性 桑原 牧子
第6章 地方紙報道からみる沖縄水産業における1954年 吉村 健司
第III部 グローバルな連帯から考える核問題
第7章 核のゴミを押し付けられる太平洋 中原 聖乃
第8章 太平洋諸島の核実験と地域協力機構 黒崎 岳大
第9章 帝国のホモ・サケルー太平洋核実験をめぐる当事者性と芸術の想像力 小杉 世
第IV部 一人ひとりが当事者として核被災を引き受ける
他