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改元
ミステリー「君は今回の譲位についてどう思うかね?」「龍の話じゃありませんでしたか?」「そうだよ」久間さんは目を細め暗い光を溜めた。「ずっと前から私はその話しかしていない」龍の夢が「私」を通過するとき、この国のもうひとつの姿があらわれる――現代日本小説屈指の剛腕による、抵抗と革命の二篇。第38回・三島由紀夫賞候補作。改元の年の異動で山奥の町に着任した公務員「私」は、集落に伝わる惟喬(これたか)親王が見たという龍の夢の伝説を追って、この国のもうひとつの姿を目撃する。(「改元」)山あいの地主の一族に生まれた少年
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空と風と星と詩 尹東柱日韓対訳選詩集
外国文学空を仰ぎ、星をかぞえ、時代の朝を待った尹東柱(1917−1945)自選の19篇を中心にした日韓対訳選詩集韓国で最も愛される澄明な詩群詩人の生涯を詩と写真でたどる旅日本語と韓国語の詩をそれぞれ収載【目次】はじめに2023 シンガポール 体感と独断による正直現地情報 シンガポール絵日記2023 インド 体感と独断による正直現地情報 インド絵日記2024 ウズベキスタン+日帰りタジキスタン 体感と独断による正直現地情報 ウズベキスタン、日帰りタジキスタン絵日記2024 内モンゴル 体感と独断による正直
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比喩の短歌 コレクション1000
詩/短歌/俳句短歌はレトリックの宝庫です。中でも「比喩」は花形で、古今の名歌の多くは「比喩」に満ち溢れています。本書は「比喩」を活かした古今の短歌の1000首を選出。比喩の種類別を明示し難解なものは脚注で解説しました。【目次】はじめに比喩の種類と定義・用例自然社会文化人コラムさくいん
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まぶしい便り
外国文学「遠い国や長い歴史を超えて、封印していた恋の秘密が解き明かされるとき、私たちはきっと前よりも少し成長している。」――島本理生(小説家)美しい文章とあたたかなまなざしで描くペク・スリンの初長編にして最高傑作派遣看護師としてドイツに渡っていた伯母を頼り、母と幼い妹とともに西ドイツに移り住んだヘミ。悲劇的な事故により心に傷を負ったまま、孤独な日々を過ごすヘミだったが、伯母と同じ派遣看護師のおばさんたちの子どもであるレナ、ハンスと過ごすうち、徐々に日常を取り戻していく。ある日ハンスから、再発の可能性があ
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楽園
文学幼い子供を抱えながら、日々の生活に疲弊する男。思い描く理想の人生と現実の狭間でもがき、ある決断を下そうとするが―夫婦とは、家族とは何かを問う傑作小説。「ことばとvol.7」掲載の「不服」に、書き下ろし作品「楽園」「パールライトタワー天王寺」を収録した、話題作『学歴狂の詩』の佐川恭一による最新小説!蓄積した時間の厚みだけが二人をつなぎとめ、しかしそれは真に重要なものではない。確かにともに過ごした時間は、消え去ることのない絶対的なものかもしれない。だがそれだけだ。たんなる事実としてそれはあり、それに
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月刊 ココア共和国 2025年11月号
詩/短歌/俳句毎月読者から詩作品を募り、新鮮な抒情や、理論と方法論の実験に満ちた素敵な作品たちをていねいに編んでいます。その投稿詩は、秋吉久美子賞、いがらしみきお賞、YS賞への応募作とみなされ、3月に受賞者を発表します。今月のゲストは、秋吉久美子、いがらしみきお、能美政通、松井ひろか、阿呆木種、トウソクジンの6名。投稿詩傑作集として54名、佳作集には90名の詩人が登場。毎号、投稿詩を中心に編集していく予定です。詩は楽しくて、深いものだと感じてもらえる編集に努めます。【目次】今月の1行 - 渋谷縷々子秋亜綺羅
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Θの散歩
文学「小説家を目指す」人たちは、小説を書こうと構えるので、萎縮したり、型に嵌ったりして、何のために書きたいと思ったの? と思うんだけど、この人からは書く楽しさや自由が感じられ……濃密な時間の流れに浸っていると、人生で最も貴重な記憶が何年ぶりかでリアルに蘇ってきた。読んでいてほんとに楽しい。保坂和志(作家)【目次】ZINE『小島信夫の話をしたいのだけれど』が話題を集め、『これは歯的な話』で第七回ことばと新人賞佳作を獲った富田ララフネ、商業デビュー作品。
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深呼吸広場
詩/短歌/俳句『恋人不死身説』の著者、新境地をひらく第二歌集。【収録歌より】日向 今日わたしはよわい 猫を抱く力があればじゅうぶんなんだ銀色のコーヒーミルに抱擁を映そうとして踏んだクッキー友だちのアフロヘアーを通過するあいだ微風は複雑になる生きながら水族館の薄闇でおでこをさすりあうのはいいねコロッケを揚げながらする合唱に百年前のくしゃみが混じる【目次】春のあこがれ抱擁と副葬品電動パンダ人間ですよ!色とりどりのほっぺ茶柱礼賛スニーカーを売ったお金ユニコーン落下白目春、前文クジラ爆発新しい友だち腐乱文体サマー、ゴ
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花と夜盗
詩/短歌/俳句現世(うつしよ)のカオスにひそむ言葉の華麗な万華鏡(ミクロコスモス)────谷川俊太郎『いつかたこぶねになる日』などエッセイでも活躍する俳人・小津夜景。田中裕明賞を受賞した『フラワーズ・カンフー』に続く6年ぶりの第二句集。【収録句より】漣が笑ふいそぎんちやくの朝蟬生(あ)れて死んで愛してゐた時間莨火(たばこび)を消して裸足の身を焦がす香水のちがふ白河夜船かなパピルスや死後千年の音階図君の瞳(め)を泳ぐおらんだししがしらかささぎのこぼす涙をおつまみに露実るメガロポリスよ胸も髪も逃げ去りし夜ほど匂ふ
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ラフカディオ・ハーンの耳、語る女たち 声のざわめき
外国文学ギリシャ、アイルランド、米国、マルチニークをめぐり歩き、1890年に、40歳を前にしてラフカディオ・ハーンは来日した。盲目の女性芸能民の三味線、行商人の下駄のひびき、大黒舞[だいこくまい]の踊りと歌、道ゆく笛の音……。富国強兵に突き進む近代化のなかで「雑音」として切り捨てられた口承文芸の調べ、民衆の暮らしの音が、ざわめきとなってハーンの耳を圧倒する。シンシナーティやマルチニークでの濃厚な声もまた、潮騒のようにハーンに押し寄せる。「海の声は…たくさんの声がかもしだすざわめき」なのである。このざわめ
