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世界が海におおわれるまで
詩/短歌/俳句【歌集より】秋の日のミルクスタンドに空瓶のひかりを立てて父みな帰るとうめいなかかとのかたち天空も公孫樹の黄(きい)を踏んでみたくて風鈴を鳴らしつづける風鈴屋世界が海におおわれるまで白の椅子プールサイドに残されて真冬すがしい骨となりゆく革装の書物のように犀は来て「人間らしくいなさい」と言う「夢といううつつがある」と梟の声する ほるへ るいす ぼるへす【目次】パパの手は煙となって夜の鳥あなたに似た人会社の椿事光が丘公園にてライカ―けさひらくまなこ荻窪の西Ⅱ十三か月月と塩リルケルリ犀の領域カーレン・ブ
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デカンの風がやむとき
詩/短歌/俳句インド↔日本無意識の混沌が押し寄せてくるイメージと音によるシュルレアリスムの世界 ――加藤治郎 【収録歌より】目に見えぬものに追われて夕暮れの西ベンガルに息をひそめる水差しの静けさだけを受け入れて僕は光とひとつになったてのひらに僕の頭は支えられ喉にふくらむ粥の甘さは地に落ちた蜻蛉の動く小刻みに蟻には蟻の歩幅があって来た道もゆくべき場所も失って椎弓を這うデカンの風は【目次】Ⅰ インド脱出、そして不確かな記憶インド脱出記録としての小文(1)数か月の日本滞在星の上澄みインド再赴任と短い滞在コルカタもう
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月刊 ココア共和国 2025年2月号
詩/短歌/俳句毎月、読者から詩作品を募り、新鮮な抒情や、理論と方法論の実験に満ちた素敵な作品たちをていねいに編んでいきます。その投稿詩は、秋吉久美子賞、いがらしみきお賞、YS賞への応募作とみなされ、3月に受賞者を発表します。今月のゲストは、秋吉久美子、いがらしみきお、望月遊馬、樋口塁、ウロタンケツ・ケタ、腹巻さしみ、森崎葵、柊、菅沼きゅうり、トウソクジン、伊藤テルの11名。投稿詩傑作集として49名、佳作集には73名の詩人が登場。毎号、投稿詩を中心に編集していく予定です。詩は楽しくて、深いものだと感じてもらえる
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10年前に諦めた初恋の人と政略結婚することになりました ルーニカノベルス
ライトノベル正統な王女であるのに異母兄に王位を奪われ、悪名高い老公爵に嫁がされたティファニー。それでも領地を立て直すべく奮闘した結果、公爵が病死した後も領民はティファニーを慕い続け、彼女も彼らを家族のように大事に思っていた。だが結婚から10年経ったある日、公爵家の嫡男アロイスがやってくる。親戚である彼はティファニーにとって兄のような人。そして、10年前に諦めた初恋の人。動揺を隠しつつ、再会を喜び歓迎するティファニーだったが……。苦悩を滲ませるアロイスから、領地を離れて自分と結婚するよう伝えられ……!?【目次
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白寿記念掌編集
文学涙や笑いを誘う素朴な掌編【目次】真冬の鯉/身体検査/蟹のいる街/初詣で/えんこ松/えーやーおじさん/二宮金次郎の銅像/リー爺さん/ニュートンの肖像画/三本の脚/成金パトロン/象と飼育係/闇の中の二人/白い鳩/橋の下の仔犬たち/井戸水/仏さまになる
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ハローハロー
文学吃音に悩む中学生・加瀬真中は、いじめが原因で不登校となったまま、中学三年生になった。そんな真中のもとに、車椅子に乗ったクラスメイト・明石京子が訪れる。ピエロのように作り笑顔を浮かべて不都合なことをやり過ごしてきた真中と、自身のことを歩けないカカシだと皮肉る京子。互いを見下し合う関係でいることで、心穏やかな学校生活を送らないかと京子に提案され、奇妙な関係を築いていく二人だが……。〈絶賛の声、続々!〉・いろんな事情から、苦しんでいる中学生、高校生は多いと思います。そんな彼らがこの本を通じてひとりぼっ
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ルネサンス 遺産とレジリエンス
エッセイガーナで生まれ、夢が届かないような小さな町で育った筆者が、揺るぎない家族の支えと自分の情熱だけを頼りに次々と襲ってくる困難に直面しながらも、逆行を乗り越えていく物語。日本に辿り着いてからも、文化の違いや様々な困難が待ち構えているが、固い絆で結ばれた「アスィードウ家」の団結力・精神力によって、文化を融合させながら日本の地で生活していくストーリーが描かれる。これまでの物語を「旅」に例え、単に移住と適応したことを記すものではなく、本来人間が持ち合わせている「強さ」そして、祖国の遺産を守る重要性について