
戦争トラウマを生きる 語られなかった日本とアジアの戦争被害、傷ついたものがつくる平和
社会学 1980円販売終了
作品説明
痛みを知る側から社会変革の可能性を探る「高強度」の平和論かつスリリングな対談集。
史上初めてPTSD日本兵の家族会を作った黒井秋夫。心を病みながら戦後を過ごし、時には家族に暴力を振るい、社会に適応できずに生きた元日本兵士の存在を明らかにしたその活動は新聞・テレビで注目されている。もう一人の著者・蟻塚亮二は沖縄・福島で戦争・原発事故のトラウマ治療に取り組んできた第一人者。両親が戦争トラウマを抱えて生きた著者二人が、苦難に満ちた自分と家族の戦後の歩み、兵士や戦争被害のPTSDを語り、今も続く戦争の真の残酷な姿を明らかにする。また、被害者側から声を上げて、行き詰まる反戦の動きを民衆の側から実現しようと試みる、読み継がれるべき平和論、対談集。これまでの「多少の犠牲は仕方がない」という社会や国家の在り方を見直し、世界の傷つけられたもの同士で交流を図る平和運動について語り合う。「東アジア・戦争トラウマシンポジウム」も収録。ここでは「韓国」社会学者・鄭暎惠、「中国」歴史学者・李素楨、「沖縄」対馬丸記念館館長・平良次子と、国家による被害を受けた民衆同士の連携と赦しを模索する。
【目次】
第1章「親の戦争PTSDと生きる」―戦後の「手のひら返し社会」と戦争トラウマ
第2章「戦争トラウマを生き抜いた戦後」—私たちの青年時代
第3章 「PTSDの日本兵家族会・寄り添う市民の会」-回復の実践
第4章 見捨てられ続けた日本兵、戦争・災害被害者とその家族
第5章 「痛みを知るものがつくる平和」-少数派を犠牲にしないために
第6章「東アジア・戦争トラウマシンポジウム」
【第Ⅰ部・韓国編】国家から被害を受けた民衆の連携を模索する―日本人の無力感を超えて
【第Ⅱ部・中国編】 旧満州で黒井さんたちが謝罪した意味-民衆レベルで平和の土台を作る
【第Ⅲ部・沖縄編】「命に対する向き合い方が変わる」平和論-戦争体験者の生き方から
あとがき
「戦後史の闇を背負って」 黒井秋夫
日本人の無力感を形成する「軍国主義のトラウマ」 蟻塚亮二