ビートルズ来日をめぐる人間ドラマ
1966年6月に来日し、日本武道館で公演を行ったザ・ビートルズ。それから程なく彼らはライブ活動を終息させます。すなわちビートルズを日本に招聘できる、ただ一度のチャンスでした。
1955年、東芝の小さな事業部として発足した東芝レコードに立ち上げから関わり、幾度の危機を乗り越えて日本を代表するレコード会社へと発展させた石坂範一郎。来日公演が実現した陰には、彼をはじめとしたビジネスマンたちの尽力があったのです。
エンタメステーションにてその過程を丹念に追った佐藤剛の連載が、『ウェルカム!ビートルズ』という書籍になりました。
第一部をすべて公開!
立ち読み版は全五部のうち第一部を、すべてお読みいただけます。
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電子版発売中!
発売日:2018/06/20
著者は作家・音楽プロデューサーの佐藤剛
音楽プロデューサーとして甲斐バンド、THE BOOMなどを手がけ、作家として『上を向いて歩こう』(岩波書店)、『美輪明宏と「ヨイトマケの唄」天才たちはいかにして出会ったのか』(文藝春秋)などを上梓している。
好評連載中『阿久悠と歌謡曲の時代』
ビートルズ初のデジタル出版があった!
ビートルズのA Hard Day’s Nightをデジタル出版した……ウソだろ、そんなの誰がやったの? きっとそう思うのではないでしょうか。私たちです! 私たちボイジャーは1992年、A Hard Day’s NightをCD-ROMで発売した会社です。ここに示すのは当時出版されたパッケージとCDの姿です。
■『A Hard Day’s Night』CD-ROM版
そもそもどうしてボイジャーがビートルズなんてできたのか? たどれば一枚のレーザーディスクに行き着きます。映画の米国でのレーザーディスク(LD)化権をボイジャーはプロデューサのウォルター・シェンソン(Walter Shenson)から得ていたのです。デジタル化の説得はまるで通じませんでしたが、ウォルター・シェンソンは私たちのあまりの必死さに、LDの権利期間内に限るという条件で、まだ魁であったマルチメディア化の許諾をボイジャーにしたのです。
LDは完全な映画ひとコマの静止画像を得ることができたので、その静止画像からひとコマひとコマ取り込みが試みられ、1秒間24コマで走っていくデジタル映像が仕上げられたのです。小さなサイズだったとはいえ、LDの静止フレームから導かれる驚くほどのキレイな動画像がCD−ROMに再現されました。
■当時制作されたプロモーション動画
ビートルズですょ! 今から26年前のことですょ! 私たちボイジャーはビートルズと縁浅からぬ黎明期のデジタル出版社だったわけです。こんなこと後にも先にもありません。何も分からぬドサクサに一輪咲いた徒花のごときものでした。世の中に出たのはほんの2年間。それ以降プッツンで市場からは消えました。手元に残ったものでさえ、今や見るOSもハードもありません。夢も志も、注ぎ込まれた人の努力も、ことごとく雲散霧消してしまいました! デジタル出版の歴史を振り返るとこんな実話もあったのです。1992年にはボイジャー・ジャパンも設立スタートしました。私たちはまさにビートルズの “A Hard Day’s Night” とともに始まったのです。
今日、私たちは再びビートルズを取り上げるデジタル出版をみなさまにお届けします。1966年、ビートルズが来日し武道館での公演が行われた、その背景に動いたビジネスマンの姿を追いかけたドキュメント、佐藤 剛著『ウェルカム!ビートルズ』です。どうぞご期待ください。